<ヤクルト2-1巨人(27日)>巨人はリーグ4連覇が厳しくなったが、原辰徳監督(57)は徳俵からの大逆転を信じている。

 終盤に訪れた再三の好機を生かせなかった。1点を追う7回に巨人は無死一、二塁としたが、代打・寺内がスリーバントを失敗すると後続の堂上、アンダーソンまで4者連続となる代打攻勢も不発。8回も一死から片岡の右中間三塁打が飛び出したが、坂本と長野が凡退して得点に結びつけることはできなかった。

 9回も無死一塁から寺内が前打席に続いて犠打失敗するなどチグハグな攻撃が目立った末にジ・エンド。チームの連勝は5で止まり、自力Vもついに消滅した。原監督は「粘っこく戦ったが、2点目が遠かったというところですね」。2失点に抑えていた先発・菅野に5回の打席で代打を送るなど執念の攻撃的采配も実らなかった。ヤクルトにマジック点灯を許したことについて問われると「だからといって戦い方は変わらないんだけど。我々としては一戦一戦やっていくということ」と強い口調で言い切った。

 残り4試合の巨人が全勝しても、残り5試合のヤクルトは3勝2敗でリーグVを決めることができる。数字を見れば、巨人の4連覇が極めて厳しくなったのは一目瞭然だ。しかしながら指揮官の胸の内には「徳俵の信念」がある。かつて原監督は相撲の徳俵を、追い込まれた戦いにおいて逆襲できる場所としてこう力説していた。「徳俵というのは土俵上で、そこだけ角が四角になっていることで力が入る。いかにそこから押し返せるか」

 ヤクルトとの直接対決は東京ドームであと1試合。今季公式戦最終戦の10月4日に組まれている。そこまで勝負がもつれることを信じて原監督は徳俵でのラストチャンスにかけようとしているのだ。そんな指揮官の思惑とは裏腹に、グラウンド外からはストーブリーグ特有のキナ臭い空気も漂い始めている。この日の致命的な敗戦によって一気に“終戦モード”に傾いたと見る向きもあるが、原監督はあくまでも前だけを見つめている。