巨人が本拠地で驚異の勝負強さを発揮だ。24日の広島戦も2―0で勝利を収めて4連勝、怒とうの東京ドーム11連勝でヤクルトのマジック点灯を阻止した。7連戦のラストを飾ったヒーローは、8回途中5安打無失点の快投で、セ・リーグ外国人投手初の10連勝をマークしたマイルズ・マイコラス(27)。だが右腕が好投を重ねるごとに“あの不安”も深刻度を増していく一方で…。

 今季0勝2敗という分の悪さも、進化した助っ人右腕にとっては関係がない数字だった。マイコラスは初回、先頭の丸に安打を許したが、その後は終盤までまったく危なげない内容。8回一死一、二塁で山口にマウンドを譲ったが、降板の際には満員のスタンドから大きな拍手が送られた。

 開幕直後こそ日本の野球への順応に苦しんだが、6月20日中日戦以降は12試合負けなしの10連勝。

「中5日の方が慣れてるし、体も覚えている。登板前のブルペンから良くて、それを出せた」と振り返ると、セの助っ人連勝記録更新の快挙にも「うれしいが、終わった後に重みを実感すればいい」とサラリと語った。

 気付けばチームの勝ち頭となった右腕については、原監督も大絶賛。「変化球も真っすぐも見事。自分の投球ができるのは素晴らしい」と手放しでたたえたが、一方で球団は右腕の快進撃に浮かれてばかりもいられない。

 今季で単年契約が切れるマイコラスを目当てに視察に訪れるメジャー球団スカウトの数は、登板ごとに増え続けている。巨人としては今季の活躍を高く評価し、今季70万ドル(約8400万円)を大幅に超える好条件を提示してメジャー流出を阻止したい方針だが、マイコラス側は現在も態度を保留している。

 先発陣の来季編成を考える上で、マイコラスの残留問題は最重要テーマだ。若手への切り替えが進んでいるとはいっても、菅野、高木勇、田口らに続くローテ候補は現状見当たらない。仮にマイコラス流出となれば、代わりの外国人投手を探し出すか、FAでの補強に乗り出さざるを得ない。

 影響はそれだけではない。スカウト陣の一人は「うまく代わりの投手が見つかればいいが、難航した場合はドラフトにも確実に影響するだろう。即戦力投手を1位で指名する必要に迫られる可能性もある」と話す。

 巨人のドラフト1位候補であるA評価リストには、夏の甲子園V左腕・小笠原(東海大相模)のほか、野手ならオコエ(関東第一)の名もある。一方、即戦力候補として仙台大の本格派右腕・熊原や、同タイプの多和田(富士大)らの名前も挙がっている。

 今年のドラフト会議は来月22日。巨人としては一刻も早く、マイコラス残留問題を片付けたいところだが果たして本人の胸の内は…。