残り34試合で首位ヤクルトと10ゲーム差。奇跡の逆転Vに向けて、阪神・矢野燿大監督(53)は大きな決断を迫られることになりそうだ。

 目下の懸案は、登板2試合連続で救援に失敗中の現守護神・岩崎優投手(31)の配置について。金村暁投手コーチ(46)は15日の投手練習で「精神的なケアも必要かなと。2試合連続(失敗)というのはクローザーとして、こたえるものがある」と言い、当面はセーブがつく場面ではなく、負担が軽いシーンでの起用を示唆した。16日からのヤクルト3連戦(神宮)の「抑え投手」は好調の助っ人カイル・ケラー(29)を筆頭に、他の中継ぎ陣でやり繰りすることが濃厚だ。

 ただ、気になることもある。これが岩崎の抑え復帰を前程とした〝有期限的措置〟なのかという点だ。特に13試合連続無失点中で15・75と高い奪三振率を誇るケラーは、そもそもが昨季まで在籍した不動の守護神スアレスの穴を埋める存在として獲得した経緯がある。仮に残り試合でケラーが抑えを務めたとしても、開幕前の構想に戻っただけという解釈はできる。

 一方で、現在は思うような結果が出ていないとはいえ、ここまで25セーブを挙げている岩崎の貢献度は、チーム関係者の誰もが認めるところ。開幕直後にケラーの大誤算があった中で、黙々と守護神を務めてきた。そうむげにはできないだろう。

 限られた残り試合で、虎の〝リアル守護神〟は「ここまでの過程」を重視して岩崎に戻すべきなのか、はたまた「現状のベスト」としてケラーに託すのか。矢野監督がどう決断するかで、今後の試合終盤の戦い方も変わってきそうだ。