ついに勝った…。巨人は4日の阪神戦(東京ドーム)に7―0で快勝し、連敗を4で止めて後半戦初勝利を挙げた。とはいえ、取り巻く状況は厳しく借金6でリーグ5位。再浮上へ不可欠な「連勝」が1か月間なく、5日からは首位ヤクルトとの3連戦を迎える。ひとまず連敗に歯止めはかけたが、球団内には47年ぶりとなる最下位転落への危機感も充満している。

 ようやくトンネルから抜け出した。先発した山崎伊が自己最長となる8回を投げて無失点の好投。打線は2回に4連続適時打などで一挙5点を挙げ、7月18日のヤクルト戦(神宮)以来、17日ぶりの白星を手にした。

 久しぶりに投打がガッチリとかみ合い、試合後の原辰徳監督(64)もすっかりご満悦。後半戦初勝利の味を問われると「たまには勝つよ。そんなに不思議なの!?」と軽妙トークで笑い飛ばし「非常にナイスゲームだったと思いますね」とナインの奮闘をたたえた。

 新型コロナの集団感染で隔離期間を経ての再始動。一度落ちたコンディションを戻すのは至難の業で、回復までにどれだけの時間を要するのかは不透明だった。そんな中で、ひと息つけたことは大きな好材料だろう。

 ただ、本当の戦いはこれからだ。リーグ戦が再開した以上、どういう状況であっても勝敗はついて回る。99試合を消化して46勝52敗1分けで、首位ヤクルトとは14・5ゲーム差。2位・阪神までは4ゲーム差でAクラス浮上の可能性がある一方で、振り返れば最下位の中日が2・5差に接近している。

 現場は原監督が「ベストを尽くす」と一戦必勝の構えを貫くが、球団関係者からは「まずは連勝。大型連勝していかないと、なかなか上には行けない。(最下位転落も)危ないよ」と危機感が伝わってくる。

 最近のジレンマは、連敗を止めてもまたすぐに黒星が続いてしまうことだ。連勝したのは、7月3日から6日にかけての3連勝が最後。4月下旬には最大11あった貯金は見る見る減り、7月14日からはついに借金生活に突入した。それまでどうにか勝率5割で踏みとどまってきたが〝デッドライン〟を超えた途端に糸がプツリと切れたように5連敗…。そこへ今回のコロナショックが追い打ちをかけた。

 1か月ぶりの連勝を飾り、上昇気流に乗るための最初の関門は5日のヤクルト戦(神宮)だ。前回対戦した際には離脱中だった山田が戦列復帰。村上は言わずもがなでサンタナ、オスナの状態も上向いている。

 この日の会心Vで息を吹き返せるのか。それとも、返り討ちにされて再び後退してしまうのか…。ヤクルト戦の後は、9日からバンテリンドームで中日3連戦が控える。長い球団史でも最下位に沈んだのは、長嶋監督就任1年目の1975年の一度だけ。最大の屈辱を回避するためにも、気を抜けない戦いが続く。