ソフトバンクは3日、大関友久投手(24)が左精巣がんの疑いにより、福岡市内の病院で左睾丸の高位精巣摘除術を受けたことを発表した。昨季、育成選手から支配下に昇格。今季は快進撃で大ブレークした。プロ初勝利を挙げるなど6勝の活躍。初の球宴出場も果たし、新人王候補にも挙げられていた。ストイックな姿勢で自らを高めてきた左腕だけに困難を乗り越えての復活をチームもファンも待っている。

 球団によると、大関は先週末ころから左睾丸にしこりを感じていたという。直近登板となった7月30日の西武戦(ペイペイ)の前後だった。

 痛みや生活に支障はなかったものの、今月1日に泌尿器科を受診し腫瘍が見つかった。2日に福岡市内の病院でエコーやMRI検査を受け、悪性の可能性があるとして即座の手術を勧められた。当日夜に左睾丸を全摘出した。詳細については病理解剖されてからになるが、医師からは早期発見との報告を受けているという。

 現時点で競技復帰については未定。今後は1週間程度の入院後、定期的に体調を見ながら検査を受けていく。前半戦のMVPにも指名していた藤本監督は「こっちは早く復帰できるように願うばかりで、本人が一番つらいだろうしね。野球がやりたくてもできないというのはね」と左腕の気持ちをおもんぱかった。

 昨季、育成選手から支配下となったばかり。今季は2完封を含む6勝を挙げるなどブレークし、スター選手への道を歩み始めていた。そんな左腕の成長を支えてきたのが、野球に取り組むストイックな姿勢だ。研究熱心で自らの投球メカニックについても徹底的に突き詰めて考えるタイプ。また、故スティーブ・ジョブズ氏が講演で口にした「直感に従う勇気」など、さまざまな世界の成功者の考えから貪欲に学びを得ることも意識していた。

 初の出場となった球宴でも多くのスター投手に対して「投球について根本的に何を考えているのか。ブレずに持っているものは何か」を質問。気持ちの強さを学びたかった楽天の守護神・松井との会話の一端を明かし「頭脳でメンタルを保っている感じでした。気迫で抑えているように見えるけれど、それが明確な戦略だったり計算から生まれているんだと知ってビックリした」と目を輝かせていた。

 そんなマジメな努力の男でもある左腕だからこそ、必ず困難に打ち勝ち再び快投を見せてくれるはず。プロ野球では阪神の原口文仁内野手(30)が2019年1月に大腸がんと診断されたことを公表し、手術を経て同年6月に一軍戦に出場した。球団としても「メンタル面も含めてしっかりケアをして、競技復帰に向けてサポートできるように体制を整えたい」(池田広報室長代行)と支えていく。