必死のタクトも実らなかった。巨人は3日の阪神戦(東京ドーム)に1―2で敗れ、前半戦から4連敗となった。

 打線が打ちあぐねた中、ベンチも必死に流れを呼び込みかけた。1―2の1点ビハインドで迎えた7回一死一塁の場面だった。遊撃に転がった打球を北村が捕球して二塁に送球。ベースカバーに入った吉川は一塁に転送する体勢に入ったが、二塁にスライディングした走者の熊谷と交錯する形となった。吉川は送球できなかったものの、二塁の判定はアウト。この判定にまずリクエストを要求したのが、阪神・矢野監督だった。

 審判団はアウトかセーフの検証に入ろうとしたところで、ベンチを出た原監督は審判に対し、熊谷のスライディングが危険だったのではないかについてリクエストを要求。両軍の指揮官から同時にリクエストが飛び出す珍しい事態となった。

 そしてリプレー検証の結果は…。木内球審は「セカンドのタイミングはアウト。危険なスライディングと判断し、『ボナファイドルール』を適用して打者走者もアウトとします」と説明。ガイドラインでは「スライディング終了後は(本塁を除き)ベース上にとどまる」とされており「ボナファイドルール」によって梅野もアウトとなり、3アウトで一気に攻守交代となった。

 巨人サイドにとっては〝最高の結果〟となり、原監督はベンチで拍手。しかし、その後が続かなかった。得点は吉川が放ったソロ一発のみで計5安打。試合後の原監督は「打線がもうひとつ打てなかったというところ。もう少しバットが振れないといけないなというところはありますね」と攻撃陣に奮起を促した。

 新型コロナの集団感染による調整不足の影響は否めないが、借金は今季ワーストの「7」まで膨らんだ。手負いの状態でも、どこかで歯止めをかけなければ取り返しがつかなくなる。