ついに夢が現実となるかもしれない。新型コロナウイルスの陽性判定を受けていた日本ハムの新庄剛志監督(50)が28日に楽天生命パークで行われた全体練習から現場復帰し、報道陣を前に〝条件付き〟で自身の現役復帰について言及した。今年の支配下登録の期限は今月31日で、残された時間は3日だけだ。

 新型コロナ陽性判定による隔離を経て、およそ10日ぶりに報道陣の前に姿を現した新庄監督は、さすがにやつれた様子で「もうコロナ中は暇過ぎてね。無症状じゃなくて無表情だった(笑い)」とポツリ。「こんな暇だけの待機期間って意味あんのかなあ」とボヤキながらも、不在中のチームの動きや愛弟子・清宮幸太郎内野手(23)が活躍した先のオールスター戦はテレビで逐一チェックしていたそうで「俺が17年間、守っていたセンターのポジションとテレビの映像って一緒なので。分かる部分がめっちくちゃあった。勉強にもなった」という。

 もっともチームの現状に話が及ぶと表情が一変した。日本ハムはスタッフを含めて30人以上が新型コロナウイルスに感染したり、陽性判定を受けて隔離を余儀なくされている。この影響で球宴明け最初のカードとなる29日からの楽天戦以降のチーム編成も困難な状況。本来であればレギュラーシーズン再開を機にオーダーを固定し、勝敗にこだわる采配を目指していたが「今は固定はできないかな」と白紙に戻すことになり、新型コロナ感染した選手らが復帰するまでは前半戦同様の「日替わりオーダー」で試合に臨むという。

 ただ、この日も新たに4人の陽性者が判明するなど「(二軍にも)入れ替える選手がいない」のがチームの現状だ。そこで指揮官がひそかに狙うのが自身の「現役復帰」だという。

「今日明日に、もし(新たに)陽性者が出たら、僕がちょっと選手登録をね。『9番・DH』ぐらいで(笑い)」

 かねて現役復帰に意欲を燃やしていた新庄監督だが、今こそが千載一遇の好機なのか。笑みを浮かべながらも語気を強めこう続けた。

「今日からバットを振ろうかな、と。ストレッチもし始めているので。そういう報告は吉村(チーム統括本部長)さんには伝えておこうかなと思って」

 ビッグボスが現役復帰するには31日までに支配下選手登録しなければならない。リミットまで3日間。日程を考慮すれば事実上不可能と言わざるをえない。だが、2020年オフに48歳ながら06年以来の現役復帰に向けて12球団合同トライアウトを受験し、それをきっかけに監督に就任した指揮官のこと。何をするかは分からない。だからこそチーム周辺も「本当に復帰するんじゃないか」と当惑を隠せずにいる。

 報道陣への取材対応後には「さあ動こうかな、じゃ!」と言い残してグラウンドへ降り立ち、チームの全体練習後には一人グラウンドに残って外野を歩いて汗を流した。残された時間はわずかながら、ビッグボスの意味深な行動を周囲は興味津々に見守っている。