大将の〝使命〟はとてつもなくデカい? 新型コロナウイルスの感染爆発が続く巨人ではオールスターの辞退者も相次いだ。中田翔内野手(33)もその一人で、巨人移籍後では初となる球宴出場も幻に…。ただ、成績不振ながらファンの圧倒的な支持を集めたこともあり、今後の活躍に壮大な期待が込められている。


 感染拡大の影響は祭典にも暗い影を落とした。陽性判定を受けた巨人5選手が出場を辞退し、25日に発表された補充選手はウォーカーのみ。支配下選手69人のうち半数以上が陽性と判定され、代替選手の選定も難航した模様だ。今年の球宴に出場するG戦士はウォーカーと小林、戸郷の3選手。同じく陽性で、コーチとして参加予定だった原監督の代役は駒田三軍監督に決まった。

 一度は祭典出場が決定した「スター」の中でも異彩を放ったのが、中田だった。今季は打撃不振で前半戦だけで2度の二軍落ち。一塁手部門のファン投票1位で選出された当時は、打率2割3分台に低迷していた。それにもかかわらず、2位に8万票近くの大差をつけての〝トップ当選〟。中田自身も「この成績でありながらファンのみなさんに選んでいただき、本当に感謝しています」と困惑ぎみだった。

 もちろん、高い守備力には定評がある。ただ、ある意味では〝成績度外視〟の選出で浮き彫りとなったのは、中田の根強い人気の高さだった。

 球団関係者は「中田は幅広い層に人気があって、グッズなどの売り上げも上位。特に小さなお子さんを持つ親御さんの人気も高いんですよ。中田を通じて子どもを連れて球場に来るとか、子どもが早いうちから野球に触れる機会が増えて、野球人口の裾野も広がっていくんじゃないかと…」と壮大な期待を口にしていた。

 その絶好となる舞台が球宴だったのは言うまでもない。球界関係者は「普段は見ないリーグやチームであっても、オールスターならコアな野球ファンだけでなく、ライトな層の目に触れる機会にもなる」と意義を訴えていた。

 あいにくコロナ感染によって「巨人・中田」での球宴初出場は来季以降にお預け。しかし、7月は打率3割7分3厘、5本塁打、9打点と調子を上げ、トータルでも同2割7分1厘、12本塁打、32打点と格段に見栄えも良くなってきた。先行きは不透明ながら、後半戦もファンを魅了し、球界発展の一助となれるか――。