巨人が6日の首位・ヤクルト戦(東京ドーム)に延長10回の末4―3でサヨナラ勝利し3連勝。ゲーム差も11・5に縮めた。打っては中田翔内野手(33)が先制の8号ソロを放つなど勝利に貢献。長嶋茂雄終身名誉監督(86)も視察に訪れた中で存在感を発揮した。この日発表された「マイナビオールスターゲーム2022」(7日26、27日=ペイペイ、松山)のファン投票最終結果では一塁手部門で断トツ選出。追い風に乗り勢いづく大砲だが、今後の活躍のカギは中田の「情報処理能力」にあるという――。

 先制パンチを決めた。中田は0―0の2回一死走者なしの場面から、相手先発・小川の投じた8球目、145キロの直球をジャストミート。「3―2カウントだったのでしっかりとコンタクトすることを心がけていました」と豪快な一発で打線に火をつけると、その後は4回に大城の6号勝ち越しソロ、5回に岡本和の21号ソロが飛び出し、最後は3―3の延長10回に吉川がサヨナラ打を決めて勝利をものにした。劇的勝利に原監督も「総力だと思います。(最後に)1本出たというのは大きいですね」と笑顔を見せた。

 この日発表された球宴のファン投票では一塁手部門で1位選出されるなど、勢いに乗りまくっている中田。今後のさらなる爆発にチーム内の期待は高まるが、中田を知る球界関係者は「今後中田が真価を発揮できるかどうかは彼の情報処理能力にあると思います」と分析する。そのワケとは……。

「巨人に移籍してから、原監督や一、二軍の指導者はもちろん、長嶋さんまで出てきてあの手この手で中田を指導してもらっていますよね。日本ハム時代の終盤は基本的に『放置プレー』で、誰かに教わることなんてほとんどなかった選手なだけに、そこからどう情報の取捨選択ができるかがカギになると思います」(前出関係者)。

 その言葉通り、移籍後は原監督をはじめとした首脳陣たちが連日直接指導。二軍調整中の6月12日には長嶋氏が球場を訪れて異例のマンツーマン指導を行うなど、まさに「ワンチーム」で中田救済に動いていた。

 前出関係者は「これだけ金言をもらえる環境なんてなかなかないんですから。その中からいいとこどりで吸収できれば、復活どころかキャリアハイだって夢じゃないですよ」とも断言。この日響かせた快音は、〝シン・ナカタ〟への進化のきっかけとなるか。