ヤクルトが強い。30日の広島戦(マツダ)にも延長12回、4―2で競り勝った。主砲・村上宗隆内野手(22)は延長10回、12回の打席で申告敬遠されて勝負を避けられたが、12回は村上敬遠後に丸山が2点決勝二塁打を放った。

 これで今季の村上の敬遠数は両リーグトップの「13」。パ・リーグのトップが「6」、セ2位が「5」なのだから飛び抜けている。本紙評論家の得津高宏氏は「当然の数字だと思います。今の村上とまともに勝負するほうがおかしい。外のボールも踏み込んで逆方向のスタンドに放りこまれますし、インハイもちょっと間違うと持っていかれます。相手投手からしてみれば、どこに投げても打たれる気がするのでは」という。

 ただ、敬遠が多いのは村上の打棒が神がかっているのはもちろんだが、打線の編成上の問題もある。

「ヤクルトは5番を打つ選手がちょっと弱い。村上との差がありすぎて、勝負を避けられやすい状況ではあります。本来ならサンタナなんでしょうが故障で離脱中。後ろに確実性のある打者を固定できないようだと、村上の敬遠は今後も増え続けるでしょうね。一塁が空いている場合はもちろんでしょうが、一塁が空いていなくても二死一、二塁などの状況からあえて満塁にするというケースが出てきてもおかしくはありません」

 そう語る得津氏は、今季の村上は、昨季「20敬遠」されたエンゼルス・大谷翔平投手(27)とだぶる部分が多いという。

「今の村上を見ていると去年の大谷のよう。大谷も後ろの打者がもっと打っていれば、あんなに歩かされなくてもすんだのに…と思ってしまいます」

 プロ野球のシーズン最多敬遠記録は王貞治(巨人)の「45」(1974年)。村上がどこまで迫れるか注目だ。