本人には不本意な結果でもチームとしてはプラスになるか。日本ハム・吉田輝星投手(21)が「先発」でもがき苦しんでいる。29日の西武戦(ベルーナ)で今季4度目の先発マウンドに上がったものの、初回に西武・森に先制2点適時打を許すと3回にも再び森に適時二塁打を浴びこの回で降板。結局3回4安打3失点で3敗目を喫した。

「毎回のように先頭バッターを出してしまい、それが失点につながってしまった。早いイニングで降板する形になり、リリーフの皆さんに申しわけない」と降板後に悔しさをにじませた吉田。これで先発として3試合連続黒星に加え3試合とも5回を投げ切れなかった。

 となれば、首脳陣もこのふがいない投球内容に頭を抱えていると思われがちだが、意外にもチーム周辺では「それほどショックはないのでは」という声が多数を占める。チームとしては今回の背信投球を機に今後、吉田を心置きなく中継ぎとして起用することが可能になりそうだからだ。

 吉田は2019年のプロ入り以来、先発願望が強い。だが、今季からチームを率いる新庄監督ら首脳陣は150キロ近い球威を誇る直球とキレのあるフォーク、スライダーを武器にする4年目右腕には「救援適正」があると見ている。実際、今シーズン開幕直後に先発から中継ぎに配置転換すると、4月2日のオリックス戦から9試合連続無失点をマーク。その後も救援陣の一角として結果を残し続けた。そんな実績があるためチームも今回の黒星を再配置転換に向けての好機と捉えようとしている。

 新庄監督も試合後、今後の吉田の起用法について「この後の先発は今は考えてないかな」と話す一方、「中継ぎでいく方が投球のダイナミックさというか…。なんか勢いがありますよね」とポツリ。本人に強い先発願望があるとはいえ、この結果なら吉田も納得して配置転換を受け入れられるはずだけに…。この日の敗戦は本人にもチームにとっても悪いことばかりではないのかもしれない。