パドレス3Aエルパソを自由契約となった秋山翔吾外野手(34)が、24日に都内で広島と入団交渉を行った。

 交渉を行った広島・鈴木清明球団本部長(68)は「来てもらいたい。プレーヤーとしては申し分ない。(過去に)選手会の発言などを聞き、個人的にも興味があった。自分が正しいと思うことをはっきりと言える人間。彼の加入は、カープの将来にとって大きな財産になる」と秋山のリーダーとしての資質を絶賛した。

 これで秋山は22日の古巣・西武、23日のソフトバンクに続き、3球団との交渉を終えた。

 日本時間16日の3A戦を最後に実戦から遠ざかっている秋山は慎重を期しながらも「試合勘の取り戻し」にこだわっていることから、週明けにも移籍先決定の決断を下す可能性が高い。

 中でも渡辺GMがいの一番に交渉に当たり「ウチに帰って来てもう一度ライオンズの選手として頑張ってもらいたい」と熱烈なラブコールを送る西武は〝ある危機感〟を抱いている。

 カープ同様、秋山を将来の幹部候補と高く評価することはもちろん、プレーヤーとして第一線に立ちながら最高の手本として「次のリードオフマン」育成を急ぎたいチーム事情があるからだ。

 2019年シーズンを最後に秋山が西武を離れてからというもの「1番・中堅」には金子、鈴木、愛斗、若林、岸ら多くの若手、中堅の1番候補がチャンスを与えられてきたが、誰ひとり定着には至らず。秋山の穴を埋められずに来た。

 もちろん、西武在籍最後の5年間で4度の最多安打、出塁率3割8分5厘~4割1分9厘のレンジにいた好打者の替えなどいない。

 しかし、チーム関係者が「アキは凡打のレベルが高かった」というように、アウトになるにしてもツーストライクに追い込まれてからのオプションには幅があった。ファウルで粘りながらカウントを作り、凡退しても2番打者以降に相手投手のボールを5~8球見せられる。生きた情報を味方に伝えられる意思と技術があった。

 一方、秋山流出以降の1番候補たちは…。初回の初球を簡単に打ち上げ、追い込まれてもファウルで粘る技術に欠け、3球三振に倒れては西武ファンのため息を誘うシーンが繰り返されてきた。チーム内では「(1番打者の)本物のレベルを見たことがないがゆえの停滞」と言われてきた。

 秋山の力を借りて、チーム最大の課題を前に進めたい西武は、負けられない争奪戦を制することができるか。