令和版「メークレジェンド」の条件とは――。巨人は24日の首位・ヤクルト戦(神宮)でエース・菅野智之(32)が初回に4点を失うなど5回7失点の背信投球。13年ぶりの16失点で6―16と大敗した。これで11ゲーム差となり、最速で25日に自力Vが消滅となる。残り69試合と大逆転の可能性はゼロではないが、チーム内からは「(13ゲーム差を逆転した)2008年とは状況が違う」との声が上がった。


 厳しい現実を突きつけられた。初回に菅野が中村に1号3ランを浴びるなど4失点。3回にも中村に2打席連続弾を許し、5回7失点でKOされた。救援陣は4番・村上に2打席連続弾を献上と投壊は止まらなかった。

 一方、G打線は相手先発・高橋の前に6回で2得点と抑え込まれた。9回に岡本和が5年連続20号となる2ランで一矢報いるのがやっとだった。

 原監督は「うちのエースですからね。内容が良くないよね。打たれ方、点の取られ方の内容がね」と先発・菅野に苦言を呈すと「こういうゲームをやっていると、もうファンの方に申し訳ないなという感じはね」と振り返った。

 これで25日に敗れると自力Vの可能性が消滅。3位に終わった昨季は9月26日と約3か月も前倒しとなる。

 もちろんまだシーズンは折り返したばかり。大型連勝があれば状況は大きく変わる。23日に東京ドームを訪れた長嶋茂雄終身名誉監督も「過去にもジャイアンツはメークドラマ、メークレジェンドを成し遂げてきました。これからの巨人軍の戦いに期待しています」と大逆転を信じていた。

 だが、チーム内からは「今回はかなり厳しい」との声が。2008年に阪神との最大13ゲーム差を引っくり返した「メークレジェンド」を知るスタッフは「あの年は打撃陣も良かったけど、救援陣にクルーンや山口鉄也(現投手コーチ)らがいた。今のチーム状況とはまったく違う。追いかけるヤクルトは救援陣がもっとも安定している。先発は最悪5回まで試合を作ればいいから、疲労もたまらず大きな連敗にはつながらない。一方、こちらは勝ちパターンが固まっておらず、大型連勝はなかなか難しい」と話す。

 実際、この日までの救援防御率は巨人がリーグ・6位の3・86に対しヤクルトはリーグ・1位の1・98。08年はゲーム差はあったものの、巨人救援陣はタレントぞろい。守護神・クルーンが41セーブを挙げれば、セットアッパーの豊田、山口鉄、越智がそれぞれ50試合以上に登板。救援防御率も2・89と安定していた。

 今季の巨人はここまで勝ち継投に苦心。この日は原監督が「8回の男」に指名したビエイラが登録抹消となった。昨季58登板の救援左腕・中川も故障に苦しみ実戦復帰のメドは立っておらず、守護神・大勢につなぐ「必勝パターン」は見えてこない。

 大逆転Vには打棒爆発はもちろん、救援陣の立て直しが最低条件となるが…。果たして巨人に救世主は現れるのか。