パドレス3Aエルパソを退団していた秋山翔吾外野手(34)が、日本球界復帰を決断したことが19日に分かった。近日中にも帰国するという。

 秋山は3年契約の最終年だったレッズの40人枠を開幕直前に外れ、自由契約に。その後、古巣の西武、ソフトバンクなどが本格調査を開始したタイミングで、パドレスから電撃オファーを受け3Aエルパソに合流。契約時に「メジャー昇格設定期限」と定めていた6月15日を迎えオプトアウトとなり、再び自由契約となっていた。

 今後は日本に帰国し、2019年以来となる3シーズンぶりのNPB復帰に向けた交渉が本格化していくが、古巣・西武復帰が濃厚と見られる。

 秋山本人とホットラインを持つ西武・渡辺久信GM(56)はレッズを退団後、4月後半のタイミングで「5月に帰ってくるという話なので、会って話をする」と獲得方針を公表。その後、パドレス入りが決まった際にも「本人的にも不完全燃焼だと思う。チャンスはすごくある。とにかくメジャーに上がってほしい」とエールを送っていた。

 渡辺GMの秋山への評価は、19年のレッズ移籍時から変わらない。秋山本人のメジャー挑戦の意思をくみながら、同時に4年総額20億円に迫る条件を提示し「できればまた来年も一緒にやりたい」と慰留した経緯もある。

 その一方、メジャー挑戦を応援してくれた渡辺GMの配慮に、秋山は「ライオンズの誇りを持って頑張ってきたい」と感謝し、ここ2年間のオフには球団施設で自主トレも継続してきた。

 今回、そんな秋山に渡辺GMが期待する役割は、台頭し始めてきた若林、岸、愛斗といった若手、中堅外野手への生きたプレー面でのアドバイスだけにとどまらない。来年でいずれも複数年契約が切れる栗山、中村の後の現場を、野球に取り組む姿勢で引っ張る精神的な支柱としての役割まで期待してのことだろう。

 また、歯に衣着せぬ物言いで時にズバズバと核心を突く性格でもある秋山。いいことばかりではなく、耳の痛いことも周囲に進言できることも、首脳陣と選手間のパイプ役として貴重な存在となることは間違いない。

 これまで選手としては09年の工藤公康に始まり17年オフの松井稼頭央、コーチとして18年の許銘傑、そして20年の豊田清といったFA移籍組をライオンズに戻してきた渡辺GM。その流れの中で、責任者として初めて自らが送り出した秋山への帰還オファーは、ライオンズの将来的な利益も考えて当初から決めていたことなのかもしれない。