「ジョーカー」の勢いが止まらない。ソフトバンクの牧原大成内野手(29)が17日の楽天戦(ペイペイ)で決勝の逆転3ランを放ち、9―4の勝利に大きく貢献。柳田、デスパイネとクリーンアップを形成した「つなぎの5番」が輝きを放った。

 1―3の3回一死一、二塁から日米通算185勝を誇る田中将の甘く入ったスライダーを完璧に仕留めた。「デスパの四球の後だったので、投手心理を読んで積極的に仕掛けた」。狙い通りの強振が最高の結果を生んだ。

 楽天との首位攻防戦でエース・千賀が先発し、初回に柳田の19試合ぶりの一発が生まれたゲーム。どうしても勝ちにつなげたい試合だった。牧原大の逆転弾で勇気づけられた打線は、その後も田中将に2発を浴びせて12安打7得点でKOした。

 藤本監督が「レギュラーよりしんどい〝ジョーカー〟をやってくれている」と感謝するユーティリティープレーヤー。ただ、献身的な役回りだけで終わるつもりはない。華やかに輝いてこそ、脚光を浴びてこそプロ野球選手との考えがある。そんな〝野心〟を包み隠さなかったのが、交流戦だった。

 牧原大と懇意のチーム関係者が明かす。「最後の最後でラオウが打った時『やられた!』と本気で悔しがってましたから」。12日のヤクルト戦後、牧原大は球場に残りオリックス―阪神戦をテレビ観戦。オリックス・杉本が最終打席で二塁打を放ち、交流戦「首位打者」を寸前で逃した落胆は尋常ではなかったという。

 試合終盤での起用も多く、規定打席には届いてない。故障予防で「休養」を設けられることもあり、タイトルに縁遠い立場でもある。そんな立場でありながら「勲章」を愚直に狙い、主役を食ってやろうという野心がハイパフォーマンスの継続につながっている。