巨人が本命助っ人の来日初勝利へ、「全面バックアップ体制」で臨む。メジャー28勝右腕マット・アンドリース投手(32)が登板予定の中日との第2戦(18日、バンテリン)で三度目の正直となる初白星に挑む。そんな右腕に対し首脳陣は細心のケアを行っているが、そこには助っ人の置かれた〝苦しい状況〟があるという。

 巨人はリーグ戦再開となる17日の中日戦(バンテリン)に向け、16日に敵地へ移動した。首位・ヤクルトとは7ゲーム差となり、原監督は「盛り返しという中で、やっぱり、ギアがあるならサードくらいに入れないとダメだよね」と危機感を募らせている。

 必勝を期して初戦をエース菅野に託し、第2戦はアンドリースが登板予定となっている。メジャー217登板を誇る右腕は15日にジャイアンツ球場でブルペン入り。桑田投手チーフコーチが時折、英語で話しかけながら見守った。

 ここまで右腕は2戦を投げて勝ち負けはつかなかったものの、防御率1・59と安定。そのアンドリースの推定年俸2億2700万円は菅野、坂本、丸、岡本和、ポランコに次いでチーム6位の高年俸となっている。

 ローテの柱を期待して獲得したアンドリースは夫人の出産立ち合いのため4月に米国に一時帰国した。「第3子の出産だったのですが、まさかの難産となってしまった。アンドリースは1週間の滞在の間、ほとんど病院に詰めていたそうです」と球団関係者は明かす。

 再来日後、桑田コーチがわざわざジャイアンツ球場にアンドリースを尋ね、日程再調整を行う〝VIP待遇〟。「帰国中の練習メニューも渡してあったが、まったく練習できなかった。そのため初登板までのスケジュールを組み直した」(同関係者)

 ようやく迎えた日本デビュー戦は本拠地ソフトバンク戦(5月31日)となった。試合前練習では桑田コーチがアップを行うセンターの位置まで並んで話しかけ、助っ人の緊張をほぐした。

 そのかいあって右腕は6回無失点の好投も援護に恵まれず。今月7日の西武戦(ベルーナ)も6回途中3失点(自責2)で初白星はお預けとなっている。

 出産後予定していた家族の来日にも変更が生じたという。現在の右腕は愛する家族を残し、異国で必死に腕を振っている状態。巨人では昨年6月の交流戦直後、スモークがコロナ禍により家族の来日がかなわず途中退団となっている。

 西武戦後、アンドリースは「勉強になる登板だったので次以降の登板にいかせるようにしたい」と初白星に向け前向きだった。「本命助っ人」を2年連続で途中離脱させるわけにはいかない。球団は裏方も含めコミュニケーションを密にとるなど右腕をケアしている。何より悲願の来日初勝利が右腕にとって大きな力となりそうだ。