最後は主軸の一打が劇的な形で勝負を決めた。パ2位の楽天は9日、広島戦(楽天生命)で延長戦の末、1―0でサヨナラ勝ち。交流戦戦績を6勝8敗とし、この日勝った首位・ソフトバンクとのゲーム差は0・5と変わらなかった。

 両軍無得点のまま迎えた延長10回一死二塁。それまで4打数無安打3三振と快音が響かなかった3番・浅村栄斗内野手(31)が相手の4番手・松本の投じた真ん中低め143キロの直球をはじき返した。鋭い当たりの打球は前進守備だった相手中堅手の頭上を越え、サヨナラ適時二塁打。銀次らチームメートからグラウンド上でペットボトルの容器に入った飲料水の〝シャワー〟を次々とかけられて手荒い祝福を受けると、いつもはポーカーフェースを貫く男が、これ以上ない満面の笑みを浮かべた。

 試合後のヒーローインタビューでは「ピッチャーが頑張っている中で点を取ってあげられなかったので、最後いい形で打てて良かったと思います」とコメント。そしてサヨナラ打を放った直後、小雨交じりで気温12度のなか、手荒い祝福を受けたことに「最悪でした。本当に寒いし、冷たいし。最悪でしたが、勝てて良かったでです」と本音を漏らすと、本拠地スタンドに集まったファンからドッと大きな笑い声が沸き起こっていた。