見事な凱旋試合だった。巨人が28日の日本ハム戦(札幌ドーム)に8―4で勝利し、連敗を2でストップ。中田翔内野手(33)が古巣相手に5号2ランを含む2打数2安打3打点の大活躍を見せた。

 最高の「恩返し」を決めた。1点リードの7回二死一、二塁のチャンスで代打で登場した中田は、日本ハム時代の同期入団・宮西から値千金の適時打を放ち、力いっぱいにガッツポーズ。2点リードの9回には、この回からマウンドに上がった望月から、札幌ドームでは5月1日の西武戦以来392日ぶりとなる5号2ラン。これが史上42人目となる全12球団からの本塁打を記録するなど、これ以上ない活躍を見せた。

 思い出の地での活躍に思いがあふれた。中田は「僕がこうやって本塁打を積み上げてこられたのも、正直、日本ハムファイターズのファンのみなさんのおかげですし、これから先もずっと感謝していかないと行けないところ」とファンへの熱い思いを吐露。さらには「僕の日ハム時代のタオルだったりユニホームだったりを本当にたくさんの方が掲げてくれていたので、心の底からうれしかったですね」と感慨深げな表情も見せた。

 ファンだけでなく、試合終盤には、かわいい後輩から粋な演出もプレゼントされていた。古巣時代から愛弟子としてかわいがっていた日本ハム・杉谷が、自らの登場時に中田が普段使用している登場曲・ビーグルクルーの「My HERO」を流す〝神演出〟。両チームのファンからは大歓声が沸き起こり、球場は感動的なムードに包まれたが、当の中田本人は試合後のヒーローインタビューで「ははっ(笑い)。全然気づかなかったです、すみません。まあ別にあんまりうれしくもないですけど、ありがとうございます」とツンデレな一面を見せ、ファンの笑いを誘っていた。

 もちろん、後輩の思いはしっかり届いていた。試合後の取材では「最高のチームメートだなと思いますし、今でもその気持ちは正直変わらない。今日はすべてにおいて『うれしい』と『感謝』と、いろいろな気持ちが入り交じってますけど、本当に良かったなと思います」と頰を緩めた。

 古巣への「恩返し」を果たすとともに、長く支え続けてきてくれたファンや後輩からも「恩返し」を受けた中田。この熱い感情を忘れることなく、巨人でのさらなる活躍を誓う。