愚痴の一つもこぼしたい気持ちではないだろうか。日本ハム・加藤貴之投手(29)が防御率2・30と安定した投球を続けながら、勝ち星に恵まれない日々を送っている。

 今季9試合目の先発となった24日のヤクルト戦(神宮)でも7回をわずか87球、5安打無失点と好投しながら味方打線の援護はナシ。打っても5回一死一塁の場面でバスターを決めて得点機を演出。松本の先制犠飛を呼び込んだものの、2番手・堀が8回に追いつかれて加藤の4月19日の楽天戦以来となる今季3勝目は消え、チームも延長11回に6番手・北山が村上にサヨナラ2ランを浴びてチームは黒星を喫した。

 7年目の技巧派左腕は「初回から野手のいいプレーもあり、リズム良く投げることができました。前回、前々回と相手に先制点を与えてしまっていたので、今日は先に点をやらないという強い気持ちでマウンドに上がりました」としたが、降板後のベンチではさすがに悔しそうな表情だった。

 無理もない。救援での起用となった開幕戦も含めて10試合に登板している加藤は、なぜか打線に援護してもらえない。防御率のわりに2勝4敗と白星が伸び悩んでいるのは援護点の少なさから。9回を投げて、どれだけ援護してもらえるかを示す援護率はリーグワースト2位の1・74。数字上は2点取られたら負け投手になってしまうのだからたまらない。周囲からも「セ・リーグを含め他球団なら2桁勝利だって狙えるだろうに…。援護してもらえない今の状況はかわいそう」と同情する声が聞こえてくる。

 加藤の投打にわたる活躍には、新庄監督も「いつも通りの加藤君らしいピッチングで試合をつくってくれた。バスターも決めてくれたし、びっくりしたね。一応(サインを)出してみようかと思って出したら1球目、バチーンって決めて。センスが見えましたね」と大絶賛だった。好投が白星で報われるのは、いつの日か…。