阪神が8―1で快勝した18日のヤクルト戦(神宮)で、先発の西純矢(20)が投打に躍動した。

 今季3試合目の先発舞台で「だいぶ一軍の環境にも慣れて、自分の力をだんだん出せるようになってきていると思う」とツバメ打線を9回115球、6安打、無四球に抑え、1失点のプロ初完投勝利。さらに、バットでも2回にヤクルト・高橋から、左翼席へプロ初本塁打を放ち「打った自分が一番びっくり」と照れ笑いで振り返った。

 矢野監督も高橋の150キロをひと振りで沈めた姿に「あのストレートを一発でしとめるってすごいよね。アイツの魅力にもなるし、ファンの人もあの打席の後も(西純の)打席を楽しみにしていたと思う。自分自身も乗っていけるし」と目を細めるばかり。投手が自らアーチを放って勝利投手に輝いたのは、昨年4月16日のヤクルト戦で藤浪が記録して以来となる。

 この日は一般的には「投手の打順」の9番ではなく、井上ヘッドの発案で8番打者での起用。高校通算24本塁打の西純が、野手顔負けの打撃力があるのはチーム内でも有名で、そんな右腕には今後も〝投打二刀流〟の期待が膨らんでいる。

 本拠地・甲子園球場は12球団の中でも「本塁打が出にくい」球場と知られているが、元メジャーリーガー・松坂大輔氏は西武在籍時の2006年6月9日に甲子園での阪神戦に先発。勝利投手&プロ初本塁打でファンを沸かせた。

 西純の今後の登板予定は、交流戦の楽天戦に続き、西武戦と、先発ローテーションが順調に回れば、当面は平日の甲子園での先発が濃厚。投げては打者を牛耳り、打っては柵越えを叩き込むほどの本格的な「投打二刀流」はこれまではあまり縁のない話だった阪神で「西純矢劇場」は聖地・甲子園の新名物となりそうだ。