ベテランの一打で試合を決めた。巨人が17日の広島戦(宇都宮)に3―2で勝利し、順位も2位に浮上。チーム最年長・中島宏之内野手(39)が巨人移籍後初となるサヨナラ打で、劇的な勝利を決めた。

 苦しい中でも粘りを見せた。この日の相手先発は、前回対戦となった4月21日の試合で4回までに6点を奪うことに成功した右腕・遠藤。再度攻略といきたいところだったが、四角を突く精細な投球を前に、打線は沈黙。5回までは死球負傷から戦列復帰したばかりの吉川が打った中前打のみと、完ぺきに封じ込められた。

 それでも、後半は徐々にコンタクトを見せ始めた巨人打線。得点には至らなかったものの、6回に初めて得点圏まで走者を進めると、0―2で迎えた最終回にはウォーカー、吉川の連打、岡本和の四球から無死満塁と、この日最大の決定機を迎えた。

 ここで遠藤を引きずり下ろすことに成功する。さらに代わったターニーから、ポランコが適時打を放って1点差。球場のボルテージが最高潮となり、なおも無死満塁からベテラン・中島が2球目・132キロのチェンジアップを力強く捉えて打球は左前へ。自身8度目となるサヨナラ打とした。

 4年ぶりの主催試合となった宇都宮の地で、平日にもかかわらず大集結したG党に最高の勝利をプレゼントだ。中島にとっては、西武時代のプロ3年目まで自主トレを行っていた思い出の地だけに、喜びもひとしお。お立ち台に上がった中島は「いい場面だったので、ヒーローになったろうと思いました。今からバスで帰るので、景色だけ見て帰ります(笑い)」と茶目っ気たっぷりに喜びをあらわにした。

 前日の夜には滞在先のホテルで宇都宮名物の餃子を堪能。「宇都宮言うたら、みんな『餃子』言うから。あったから、まあ5個くらい食べた(笑い)」と決戦に備えて〝餃子パワー〟を注入したという。

 年を重ねてもなお、若さあふれるプレーを見せている中島。上位混戦の今季は、今後もその存在感をいかんなく発揮しそうだ。