春の珍事か、それとも…。近年は投壊に泣かされ続けてきた西武のチーム防御率が激変している。15日現在、2・42と楽天を0・09ポイント抑えてリーグ首位、トップがヤクルトの2・90というセ・リーグを含め12球団のトップに立っている。

 昨年までチーム防御率は4年連続でリーグワースト。まさに劇的な改善だ。4連勝中のエース・高橋光成が登板8試合中、4試合でハイ・クオリティー・スタート(HQS=7回以上を自責点2以内)の防御率1・67の安定感を見せ、ドラフト1位・隅田は1勝4敗ながら防御率は2・70、2位・佐藤も2勝3敗と黒星先行ながら防御率3・90と経験を積みながら試合を作っている。

 そして今井の出遅れをエンス(2勝2敗、防御率2・59)、スミス(1勝、防御率1・08)の新外国人投手がカバー。ここ4年間、4・07~4・87のレンジにあった先発陣の防御率は現時点で2・97と未知の数字をたたき出している。豊田投手コーチが就任した2020年以降、高位安定が続いているブルペン陣とようやくバランスが取れ、チーム防御率は西武らしからぬ数字が踊っている。

 2018年オフにエース・菊池雄星(現ブルージェイズ)がメジャー流出して以降、ドラフト補強を含めて「投手王国再建」を標ぼうしてきた渡辺GMにとっては、念願成就に片手をかけた感があるのかもしれない。

 もちろん関係者が「去年だって春先の投手成績はよかった。油断禁物。問題は夏場以降」と警鐘を鳴らすように重要なのは今ではなく、シーズンをどう終わらせるかだ。西武投手陣の数字からも目が離せない。