目覚めし大砲をたたえた。巨人の原辰徳監督(63)が5―2で勝利した13日の中日戦(東京ドーム)後、プロ初犠打&ダメ押しの3号2ランを放った中田翔内野手(33)を称賛した。

 まさに執念のプレーだった。1―1の同点で迎えた4回、ポランコの内野安打、岡本和の四球で無死一、二塁とし打席を迎えた中田。ここでまさかのバントの構えを見せると、球場に集まったG党たちは大きくどよめいた。

 相手先発は竜のエース大野雄。なんとか1点が欲しい場面で、長距離砲は2球目・131キロのツーシームをうまく投手前に転がし、見事に成功。観客席からは拍手喝采が起こった。その後は続く大城の二ゴロの間に三走・ポランコが生還し、1点を勝ち越した。

 快音も響かせた。3―2の僅差で迎えた8回無死一塁で打席に入った中田は、山本の投じた初球・148キロの直球を完ぺきに捉えると、打球は左中間スタンド中段まで一直線。4月3日の阪神戦(東京ドーム)以来40日ぶりとなる快音に感情を爆発させた大砲は、打った瞬間に「っしゃあ!」と絶叫し、ダメ押しの3号2ランの喜びをかみしめた。

 中田は「(移籍後)初めてのバントで緊張しました。成功できて良かったです。その後の本塁打も勝利につながる一発となって良かったです。チームの勝利のために全力でプレーするだけです」と胸の内を明かした。

 指揮官も、大砲の復活に脱帽。「彼らしい思い切りのいい、初球というところで非常に価値がある。ゲームの中でも大きなものだったと思います」とたたえれば、小技を決めた場面についても「チームが勝つことが大前提で、日頃より彼と話をしたりいろんなことの中でね、非常に献身性のある選手ですから、もう少しずうずうしくやっても良いんじゃないかなというね。不慣れではあるでしょうけど、しっかり決めたというところに価値が出るわけですね」と手放しに褒めた。

 一時は不振により二軍に降格するも、10日に再昇格して以降は9打数4安打1打本塁打2打点と意地を見せている中田。眠れる大砲が目を覚ました今、原巨人にとって怖いものはなくなった。