西武・山川穂高内野手(30)が8日の日本ハム戦(ベルーナ)で2打席連発。13号先制2ランに14号3ランと相手先発・杉浦を粉砕し、5―1の勝利に貢献した。

 殊勲の山川は「去年、一昨年と全く打てなかったので今回はここで必ず打ちたいと思っていました」とゴールデンウイーク中に本拠地ベルーナドームで放った5本のホームランを振り返り満足そうな笑顔を見せた。

 これで今季のマルチ本塁打は3試合となり、山川が一発を放った試合は11連勝と不敗神話も継続させた。チームの勝利に欠かせない4番打者は一方で、チームの垣根を作ることなく敵軍の若手育成にも助言を贈っていた。

 試合前、昨オフのトライアウトで親しくなった「ビッグボス」新庄剛志監督(50)の質問に答える形で打撃理論を語っていた。そこに悩める4年目・万波が通りかかると新庄監督が呼び寄せる形で、山川による臨時の打撃講座が始まった。

 新庄監督によれば「オレと山川君が話をしていて、万波君を呼んで『教えたって』って」という経緯があって実現した臨時講座だったという。

 敵味方関係なく、いいものはスピード感を持って取り入れていく主義の指揮官は「ああいういいタイミングの取り方とか、打ちに行く形をうちの若い選手に目で盗んでもらう。おたがい試合をしているんだから、いいところは盗んでいってほしいですよね」とこの日の山川の2発を称賛しながら「(彼は)振り切るでしょ、振り切った後に走る。走り打ちをしていない。体の中にボールを入れないところがいいんですよ」と、その打撃スタイルにも細かな賛辞を送った。

 これに山川は「ビッグボスに構えの話を多少して万波の話になって、ちょうど前を通りかかったので思ったことは言いました。敵ですけど、ホームランは敵のチームのものでも見たい。ギータさんを見ても楽しいですし、吉田正も楽しい。12球団含めていいバッターの打撃を見るのは楽しい。負けたくないから教えないというのはない」と共鳴。山川はチームのみならず、球界全体の利益に貢献する真のアーチストになってきた。