〝大記録〟が幻と消えた――。中日・大野雄大投手(33)が6日の阪神戦(バンテリン)で延長10回二死までパーフェクトピッチング。30人目の打者・佐藤輝に安打を許し、史上17人目の完全試合達成は逃したが、エースの快投劇にドームのファンは酔いしれた。

 9回二死。大野雄が青柳を二ゴロに打ち取ると、バンテリンドームからは大きな拍手が沸き起こった。打者27人に対して1人の走者も許さないパーフェクトピッチング。普通ならこの時点で、ロッテ・佐々木朗が4月10日のオリックス戦で達成した試合に続いて、史上17人目の「ミスター・パーフェクト」となるはずだった。

 だが、この日の大野雄は〝孤立無援〟だった。阪神先発・青柳の前に中日打線もゼロ行進で、試合は延長戦に突入。10回二死から佐藤輝に右中間を破られ、快挙達成はならず。大野雄は2019年9月14日の阪神戦でノーヒットノーランを達成しており、完全試合とノーヒットノーランを達成した史上4人目の投手となるはずだったが、それも幻となった。

 延長10回、石川昂のサヨナラ打が飛び出し、中日は1―0で勝利。完全試合こそならなかったが、10回120球、被安打1という熱投は2勝目という形で報われた。

「青柳投手がすごいピッチングをしてたので、1点勝負だと思って投げていた。走者を出していないことも気付いていた。先頭を出さないようにと思って投げた。本当にみんなよく守ってくれてありがたかったですね。9回投げ終わった時に(立浪監督から)『代わるか?』と言われたが、柳なら絶対に『投げる』と言うだろうなと思ったので『投げます』と言いました」。

 味方の援護に恵まれず大、記録達成を逃した悔しさを最後まで見せなかったエースに、スタンドからはこの日、1番大きな拍手が送られた。