主砲が黄金の輝きを放ち、難攻不落の敵を沈めた。ソフトバンクは3日、オリックスとのカード初戦(ペイペイ)に7―3で勝ち、連敗を4で止めた。3―3の同点で迎えた6回に主砲・柳田悠岐外野手(33)が決勝のグランドスラム。球界屈指の右腕・山本由伸投手(23)を粉砕して、下降ぎみだったチームを救った。

 世は黄金週間――。3万3000人を超える観衆が注目した球界最高の打者と右腕の〝ほこたて対決〟は、劇的な結末となった。試合は取っては追いつきのシーソーゲームの展開。6回、打線は三森と牧原大の連打などで一死満塁の好機をつくり、主砲のバットに託した。

 山本はすでに100球を超え、最後の力を振り絞って柳田との勝負に挑んできた。気持ちのこもった150キロ超の真っすぐを多投。3球で追い込まれたが、柳田はファールで粘り、カウント2―2からの7球目をコンパクトに振り抜いた。山本の124球目、やや高く浮いた153キロを跳ね返した弾道は、柳田の雄叫びとともに左中間席へ一直線に伸びた。

 キャリア初の満塁弾を浴びた山本は両手をひざについて肩を落とし、柳田は両手で持ったバットを高々と掲げた。真剣勝負の末の対照的な姿は、野球ファンの琴線に触れるハイライトシーンだった。

「執念が奇跡を呼んだ一打」。チームは4連敗中、相手は超のつく難敵。黄金色のCマークを付けた主将は「神頼み」するほどの局面で「コンパクトに当てにいったような感じで、ようあそこまで飛ばしましたよ」と珠玉の一撃をかみ締めた。「神様ありがとう」。鷹党に最高のご褒美を授けた。大型連休で多くの子供たちが見守る中、お立ち台で飾ることもなく等身大の姿を見せたヒーローは、どこまでもカッコよかった。

 これぞ柳田――。藤本ホークスの窮地を一撃で振り払い、再びチームを上昇気流へと導く。