ビッグボスこと日本ハム・新庄剛志監督(50)の〝秘蔵っ子〟たちが、開幕から1か月あまりで早くも覚醒の兆しを見せている。

 筆頭株はプロ11年目の松本剛外野手(28)だ。楽天に移籍した西川の穴埋め役として春季キャンプから指揮官に期待されていたが、その思いに応えるように開幕から好調を維持。21日現在、リーグ首位打者(打率4割3厘)と打ちまくり、今やチームの主軸に成長しつつある。

 投手ではプロ4年目の吉田輝星(21)の躍進ぶりが目立つ。

 シーズン初登板となった3月27日のソフトバンク戦こそ先発で4回3失点も、その後救援陣の一角に入ると安定感抜群。現在、7試合連続無失点の好投を見せている。

 2人とも昨季までは周囲の期待を背負いながらも伸び悩んできた。なぜここにきて頭角を現したのか。本人たちの非凡な才能もさることながら、大きな要因はやはり指揮官の「機会均等法」とも言える出場機会の創出と独特の起用法だろう。

 松本は内外野が守れチーム打撃もできる非凡なユーティリティー選手だった。だが、レギュラーが固定化されていた昨季までは出場機会が限定。思うような力を発揮できずにいた。そんな不遇の中堅選手でも新庄監督は先入観なく春季キャンプから積極的に起用。これが11年目の開花につながった。

 吉田も昨季まで先発として期待されながら実力を発揮できず低迷。自信を失いかけていた。だが、ビッグボスの計らいもあり「救援」という新たな持ち場を与えられると投球が激変。持ち前の威力ある直球で、今や救援陣の中心的存在になりつつある。本人も21日の試合後「先発の時よりは調子が悪い時もしっかり抑えられている。工夫はしっかり1イニングだったらできているかなと思います」と自身の役割に手応えを感じている。

 くすぶる選手を次々に蘇生させる「新庄マジック」。あとは現時点で1割5分8厘、2本塁打、5打点と低迷する清宮幸太郎内野手(22)の覚醒だが…。

 相次ぐ〝新庄チルドレン〟の躍進ぶりが目立つだけにその手腕が注目されている。