「藤本流」がさく裂している――。ソフトバンクは14日のロッテ戦(ペイペイ)に4―0の快勝。不名誉な連続イニング無得点を「30」で止め、連敗も止めた。8回にルーキー・野村勇が好走塁で貴重な追加点をたたき出すなど躍動。「きれいな1点よりも泥臭い1点がウチには必要」と語る藤本博史監督(58)の目指す野球が着実に浸透している。

 ここまで開幕15戦11勝だが、決して順風満帆ではない。打線の「飛車角」である栗原が左ヒザの大ケガで今季絶望で、柳田も左肩痛のため戦列を離れている状況。16日の楽天戦から出場が見込まれるリードオフマンの三森も下半身の張りを訴えるなど、野手陣のやりくりは苦しい。好調な投手陣に支えられ、日替わりオーダーで何とかしのいでいるのが実情だ。

 苦境に耐え懸命のタクトで勝ってはいるが、藤本監督は苦々しい思いも抱いている。主力の離脱はチームにとって痛手だが、将来を見据えれば「世代交代」の好機となり得る。ゆえに黙ってはいられなかった。「これだけケガ人がいる今が若い選手にとっては本当にチャンス」と言い切った上で、期待をかける若鷹へ強烈なメッセージをたたきつけた。

「二軍にいる選手、リチャードでも井上でも、その辺が今、必死にならんと。今、上がってこないでどうするんやって話。のんきにしている場合じゃない。のんきにしとったら毎年ドンドン人が入ってくる。せっかくあれだけオープン戦でチャンスをもらっているのに、二軍で1割台とか…。その辺は考えてもらいたい」

 名指しされるのは愛情の裏返しだ。ウエスタンで現在、打率1割5分のリチャード、同2割2分6厘の井上は「世代交代の旗手」となるべき存在。一軍枠をつかむここぞの絶好機に、一軍首脳陣を振り向かせる吉報が届かないことに〝愛ある苦言〟を放ち、尻をたたいた。

 猛ハッパに応える若き大砲たちの奮起を、鷹の大将は熱望している。