瀕死の虎にトドメを刺すのか…。2連勝で首位を走る巨人は最下位に沈む阪神と15日から敵地・甲子園で3連戦に臨む。体調不良で2試合欠場した主砲・岡本和の戦列復帰が見込まれ、初戦の先発にはエース菅野を立てる情け容赦ない布陣。宿命のライバルははるか後方でもがき苦しんでいるものの、チーム内からは「明日はわが身」との声が上がっている。

 巨人は13日までに他の5球団との対戦がひと回りし、12勝5敗で首位を堅持。14日に遠征先の沖縄から関西入りした原辰徳監督(63)は「明日ぐらいから岡本も(復帰できる)と思いますよ。もう大丈夫だと思う」との見通しを示した。底なし沼でもがく虎には悲しい知らせかもしれない。主砲の復帰に加え、前回登板で打球を右足に当てて緊急降板した菅野も中6日で先発マウンドに立つ。

 今季の阪神には東京ドームで3連勝。ゲーム差の点でも、背後を振り向いたところでその姿は遠くにかすんでいる。シーズン序盤とはいえ、甲子園の3連戦はライバルを奈落の底へ突き落とす場となるかもしれない。阪神の歴史的出遅れについて、巨人の球団関係者は「チャンスだなんて思っていたら痛い目に遭う。明日はわが身。順位の上では首位だけど、ここまでが出来すぎなだけ。一つのきっかけで何がどう転ぶかは分からない。昨年だって10連敗している。とても浮かれてなんかいられない」とピシャリだった。

 確かに、ここまでは何とか試練を乗り越えてきた。開幕2戦目まで離脱した主将・坂本の穴を広岡らでどうにか補って連勝。岡本和が不在だった2試合は坂本が4番をこなし、これまた連勝を飾った。「総合力」のひと言で片づければそれまでだが、同じ1勝でも完勝劇はほぼない。

 実際、ベンチで指揮を執る原監督もこの日「接戦…。本当に接戦だらけだな」と苦悩をにじませた。勝利した12試合のうち、4点差以上は2試合しかなく3点差以内が10試合。さらに、1点差は5試合で2点差が2試合だ。ドラ1守護神・大勢に早くも8セーブがついたのも、いかに接戦続きかを物語っている。今のところ最長は2連敗でもちこたえているが、歯車が一つ狂えば、いつ決壊しても不思議ではないとの見立てだ。

 ましてや昨季は9月以降に投打がかみ合わなくなり6連敗、5連敗、そして悪夢の10連敗。最大「15」あった貯金をすべて吐き出し、3位に甘んじた〝トラウマ〟は今でも教訓として深く刻まれているようだ。

 とても悠長になど構えていられない原巨人。ライバルの転落ぶりにかえってチームを引き締め、全力でつぶしにかかる。