〝荒療治〟が中田復活のキッカケになるか。巨人は10日のヤクルト戦(東京ドーム)に1―2で敗れ、2カード連続の負け越しとなった。10勝5敗となり広島にセ首位を明け渡した。大きな原因は6戦連続3得点以下と、急速に冷えた打線。開幕からクリーンアップの一角を務めた中田翔内野手(32)にも、ついに指揮官のメスが入った。

 2日連続の決断だった。原監督は開幕戦から「5番・一塁」で起用し、6戦連続安打ながら好機で打てず、ここ5試合打点ゼロの中田をベンチに置いた。

 背番号10は自分に代わり「6番・一塁」で出場した中島が、5回に左中間二塁打を放つのをベンチから見つめた。さらに7回2失点で降板した先発・赤星に代わり、8回の守備から「9番・一塁」で出場。その裏に中田に打席が回ってきたが、一邪飛と凡退した。

 巨人打線はヤクルト先発左腕・高橋の前にわずか4安打1得点で完投負け。原監督は「1点ではなかなかね。もう少し打たないとね。打者陣がもう少しふんどしを締め直してやらないとね」と、打線に奮起を促すと、中田については「まあ、個人的なことはともかくとしてね。打者陣ということでいいでしょ」と、言及を避けた。

 中田は昨年8月、日本ハムから騒動を経て巨人に電撃加入。元「日本の4番」に敬意を払い、新天地での起用法は慎重を期した。昨季は打率1割5分4厘、2本塁打と不振に陥ったが〝守備固め〟的な起用はなかった。

 前日9日には同点の8回無死一、二塁の場面で、走者を送るため中田に代打が出された。終盤で得点の可能性を高めるためとはいえ、3日の阪神戦(東京ドーム)で満塁弾を放っている中田としては寂しい選択。ベンチスタートのこの日と合わせて2日続けての「ショック療法」となった。

 首脳陣の決断の裏には直近の成功例がある。今年のオープン戦で不調に陥った丸は、一時は8番降格の〝荒療治〟を受けた。背番号8は開幕戦から「6番・中堅」と主軸を外れたが、それをバネに復調。この日は「5番・中堅」で起用されると、2回にチーム唯一の得点となる3号先制ソロ。打率2割7分8厘、3本塁打、8打点と調子を戻している。

 元木ヘッドコーチは「(中田)本人が調子上がるしかないから。悔しい思いをしているだろうけど、結果を出すしかない」とゲキを飛ばした。

 開幕後、自打球で足を痛めながら中田は「試合出させてもらってるんで痛いって言ってられない」と、気丈に話していた。チーム内競争を活性化させて、打線を生き返らせるのが巨人の常道でもある。中田は首脳陣の期待にバットで応えられるか。