大興奮も冷静さは欠かさず…。巨人のドラフト1位・大勢投手(22)が9日のヤクルト戦(東京ドーム)でプロ初勝利を挙げた。

 2―2で迎えた延長10回から「本当に勢いを持たせて、サヨナラにつなげたいと思っていた」と強い意志を持ってマウンドに上がった大勢は、早々エンジン全開。先頭・塩見を右邪飛、続く代打・青木を一ゴロに打ち取ると、最後は156キロの剛速球で山田から空振り三振を奪い、強力な燕打線を簡単に封じ込めた。

 ルーキーに流れをもらったチームは、直後の攻撃で立岡がサヨナラソロを放ち、劇的勝利。大勢もベンチから飛び出してガッツポーズ。うれしい初勝利を飾った。

 この日の好投は決して偶然の産物ではなかった。「ブルペンにいた時から『今日は同点での登板もあるだろうな』という心の準備をしっかりして待ってたんで、そういう準備がしっかりできたからああいう投球につながったかなと思います」と振り返った大勢。

 緊迫した場面での投球だったが「ここ数試合投げて、今日はなんかちょっとつかみかけている真っすぐのイメージがもう少しでつかめそうだったので、ああいうすごい打者に対してどんどん真っすぐで押していけたらいいなと思っていた中で、大城さんも真っすぐを強気で要求してくださったので、僕は応えるしかないというか、しっかり応えようという気持ちになりました」と、大きな収穫も得たことを明かした。

 新人らしからぬ肝っ玉を日々見せつけている若き守護神だが、サヨナラ勝利後にナインがヒーロー・立岡にドリンクをぶっかける「ウオーターシャワー」では、こんな初々しい一面も…。「(サヨナラの瞬間に)ちょうどアクエリアスを飲んでたんですけど、やっぱり1年目というのもありますし、自分が口付けたやつだったので、コロナ的にもあんまりよくないなと思ったので、ポケットにしまいました(笑い)」。

 大興奮の最中でも時勢を考慮する冷静さを忘れず〝超大人対応〟を見せた右腕。投球も精神力もさすがだった。