今季こそ化けるのか。巨人・原辰徳監督(63)が小林誠司捕手(32)を今季の「副キャプテン」に任命したことを明らかにした。プロ9年目でチーム最年長捕手のリーダーシップを高く評価してきた指揮官の期待が形となった格好だが、思わぬ効果を見込めるかもしれない。昨季まで2年連続で打率0割台に低迷した打撃向上にもひと役買いそうなのだが――。

 開幕3カードを終えて8勝1敗と開幕ダッシュに成功し、6連勝中の巨人は4日に広島入り。移動前の原監督は「今のところ機能している」としつつも「(今後は)分からないよね」と足元を見つめ直した。

 その巨人では、新たな〝ポスト〟が設けられていた。原監督は「(小林を代理の)キャプテンにして1日か2日だったから『みんなどうだい、副キャプテンにしよう。異議あるかい?』と言ったら、異議はないと。『よし、今日からお前は副キャプテンだ』」と知られざる内幕を明かした。

 開幕直前に主将の坂本が左脇腹を負傷して離脱。長期化のおそれもあったため、指揮官は小林を代理の主将に任命していた。しかし、坂本は開幕3戦目の3月27日から戦列復帰。小林はひとまず役目を終えたが、原監督は「このまますぐキャプテンから降ろしてもダメだな」と坂本のサポート役に据えた。

 指揮官は「(小林は)まんざらでもなさそうだった」と笑ったが、大きな期待の表れだ。そもそも臨時の主将に抜てきしたのも「取り組む姿勢、リーダーシップを強く持っている」との理由から。2020年から4年契約を結ぶよう球団に働きかけたのもほかならぬ原監督だった。

 そして、チーム内に立場を残したことで、小林に染みついた〝卑屈メンタル〟を取っ払うことにもつながりそうだ。2年連続で打率が1割に届かなかった原因を、首脳陣の間ではこうも指摘されていたからだ。

「やっぱり打撃を何とかしないとダメ。(監督も)使わないでしょ。客観的に見ても〝どうせ自分は打てないから〟みたいに思って打席に入っているようにしか見えない。いいオーラがないように見えちゃう。そういう精神的な部分もあるのかもしれない」

 打撃改善の努力はしていても結果に結びつかないジレンマが、いつしか周囲には開き直りや投げやりな姿勢にも映っていたという。だが、チームの決め事として「副主将」となれば、ふとした言動はもちろん凡退した後の姿勢に至るまで他のナインの視線が注がれる。ましてや〝負のオーラ〟を漂わせることなどご法度だろう。

「まだ老け込む年齢じゃない」と伸びしろにも期待されている小林は、ここまで出場5試合で打率1割8分2厘(11打数2安打)、0本塁打、1打点。責任が増したことで、課題の打撃に好影響をもたらすかもしれない。