ビッグボスの奇策リレーを攻略し、劇的な逆転勝ちを決めた。ソフトバンクが25日の日本ハム戦(ペイペイ)に4―1で勝利した。

 翌日の予告先発投手まで登板して来るなどサプライズ続きの継投の前に7回まで無得点。8回に新助っ人のガルビスが逆転グランドスラムを右翼ホームランテラスに運んだ。初陣を白星で飾った藤本監督は「うれしいです。ウイニングボールをもらって感動しました」と笑みを浮かべた。

 試合前のセレモニーは、さながら〝ビッグボス劇場〟だった。監督紹介の場面では複数のニセビッグボスが出現。ホンモノはマジックショーさながらにセンターに置かれていた箱から登場した。始球式ではバットを持って打席に立ち、打つと見せかけてフジテレビ・井上清華アナが投じたボールをキャッチ。マウンドに駆け寄り手渡した。

 藤本監督もライト方向からみこしに乗って姿を現す前代未聞のサプライズ登場で球場を沸かせるなど、大盛り上がりの〝前哨戦〟。それでも敵将・ビッグボスに日本ハムの本拠地・札幌ドームかと思わせるほどのパフォーマンスを許したのは驚きを呼んだ。その舞台裏にはソフトバンク球団ならではの英断もあった。

「入場制限が解除されたとはいえ、コロナ禍の2年間でファンの方の意欲もそがれています。球界全体として球場に来たら面白いですよというアピールをしていかないといけない。明日、中継を見てみようと思ってくれた人もいるだろうし、また球場に足を運ぼうと思ってくれた人もいたはず。こちらのプレーボールがかかるまではお祭り感を出したいというムチャぶり覚悟でのお願いに、ビッグボスが『面白い』と応じてくれたことに感謝です」(球団フロント)

 やるからには本気のビッグボス。ニセビッグボスが着用していたユニホームやリストバンドも、わざわざ本人が用意して貸してくれたホンモノだ。新庄監督は本拠地だけではなく、11球団の球場を「満員に」と掲げている。「世界初をやる」と宣言している札幌ドームでの試合を前にした敵地での開幕戦の盛り上がりには大満足だろう。

 逆境の2年間が終わった。一度、野球観戦から離れて慣れてしまった層を呼び戻す苦労も予想されており、ここから収益を回復させられるかが野球界のテーマになる。注目の開幕戦でファンの関心を広く呼び起こすには十分な仕掛けとなった。