うれしい悩みとはこのことか。ソフトバンクのホットコーナーを巡るチーム内バトルが激化してきた。実績抜群のベテラン・松田とロマン砲として期待されるリチャードの一騎打ちと見られていたが、高卒2年目の井上朋也内野手(19)が「最終テスト」として「7番・三塁」で先発起用された8日の巨人戦(宇部)で先制2ランを含む2安打5打点と大暴れ。大混戦の様相を呈してきた。

 井上はキャンプ中の実戦で結果を残し、藤本監督から「リチャード、松田の競争だと言われている中で、すごくいいものを見せてくれた」と野手MVPに選ばれた。今月に入って限られた打席数の中で結果を残せず〝土俵際〟に追い込まれていたが、この日の奮起で状況は一変。11日のヤクルト戦(神宮)までに絞り込むとしていた指揮官も逆境下での井上の勝負強さに感服し「(遠征に)連れていきます。外せんでしょ。2年目でこれだけできるって大したもの。最終テストが伸びてしもうたね」と〝延長戦〟を宣言した。

 4番で起用されたリチャードも2安打するなど一時期のスランプを脱している。ここからオープン戦での打席数が増えていく松田も定位置をやすやすと譲るわけにはいかない。経験や実績の面で抜きんでており、打撃の状態はいい。

 大物新外国人ガルビスも二塁、遊撃に加えて三塁も守れる。〝ダークホース〟だった昨季ドラ1の若鷹が台頭してきたことで、藤本監督もうれしい悲鳴だろう。