救援陣の重要なピースになるかもしれない。巨人のドラフト1位・大勢(翁田大勢=22、関西国際大)の中継ぎ起用が7日までに決まった。昨季の勝ちパターン左腕・中川皓太(28)は開幕に間に合わない見通しで、剛腕新人に白羽の矢が立った。早くもライバル球団からは「大勢の球威は澤村クラス。対戦が多くなる中継ぎの方が厄介」と警戒の声が上がっている。


 指揮官もゾッコンだ。8日のソフトバンク戦(宇部)に向けて巨人が空路移動した7日に羽田空港で取材に応じた原監督は、6日に自己最速158キロを記録するなど、オープン戦2試合の登板で計2回を完全投球の大勢について「うちのピッチャーの中ではとにかく一番(球の)力があると思いますよ」と絶賛。さらに「昨日も(桑田)真澄(投手チーフコーチ)と(阿部)慎之助(作戦兼ディフェンスチーフコーチ)も含めて話したんだけど、リリーバーとして役割を与えようかと。その方向で場を与えて成長していってもらおう」と続け、中継ぎでの起用を明言した。

 桑田コーチによれば、背景には自主トレ中に故障した中川が「まだまだ時間がかかりそう」という台所事情もあった。そんなところに大勢が〝救世主〟として現れ、本人の意向も「中継ぎのほうがいいです」。首脳陣の思惑とも一致して、救援での起用は「すんなり決まりました」(桑田コーチ)。

 大勢はキャンプイン直前に新型コロナ陽性判定を受けて出遅れ、一軍の沖縄キャンプ合流は2月24日になった。そこから今月3日の西武戦(東京ドーム)、6日の日本ハム戦(札幌ドーム)でそれぞれ1回完全投球を披露し、開幕一軍に大きく前進した。

 そんな右腕にライバル球団の関係者も警戒心を強めている。「大勢は右手首の強さがボールの強さにつながっている。サイドスロー気味から投じる150キロ台後半のボールは澤村(拓一=現レッドソックス)クラスの球威で、コントロールは澤村以上。先発なら対戦はあっても(3連戦で)1回だけど、勝ちパターンなら全てで対戦する可能性もあって厄介だ。対策が必要」と既に〝要注意人物〟の扱いだ。

 澤村といえばルーキーイヤーの2011年に先発で11勝を挙げて新人王に輝くも、その後は制球難もあって15年に抑えに転向して救援に適性を見いだした。ロッテを経てレッドソックスに移籍した昨季は中継ぎで55試合に登板。5勝1敗、10ホールド、防御率3・06の成績でチームのポストシーズン進出に貢献した。

 大勢はまだ実戦で走者を背負う場面がなく、クイック投法など未知数な部分もある。ただ、どこまで成長するか楽しみになってきた。