助っ人大補強があの男の尻に火をつけた。巨人はメジャー通算96発を誇るグレゴリー・ポランコ外野手(30)ら4選手を獲得し、今季は外国人8選手の大所帯でV奪回に挑む。4人の合流時期は不透明ながら、助っ人枠を争うことになるライバルの出現に、猛アピールを続けるのがゼラス・ウィーラー内野手(35)だ。若手に交じって汗を流し、さらにはキャンプ中の遠征帯同…。生き残りへ必死だ。

 23日に予定されたヤクルトとのオープン戦開幕戦(浦添)は雨天中止となり、原辰徳監督(63)も「致し方ない」と恨めしそうに空を見上げた。

 新助っ人たちの合流時期も相変わらずの悩みの種。政府は新規入国者への水際対策を3月以降に緩和する見通しも示しているが、助っ人勢は来日後の調整期間も必要だ。どのタイミングからフルスロットルでプレーさせるかの見極めも難しい。指揮官は「試合で打つ、打たないは別にしても野手は少々体さえできていればね。ピッチャーの場合は、ある程度しっかり作らないとダメ」とし、新助っ人を含めた開幕時の全陣容は「柔軟に」と話すにとどめた。

 ただ、いつ合流できるかも分からない新助っ人の存在が外国人枠を巡る争いを過熱させている。既存の助っ人の野手はウィーラーだけで、投手はメルセデス、デラロサ、ビエイラの3選手。そこにポランコとウォーカーの野手2人、シューメーカーとアンドリースの投手2人が加わり、今季は助っ人8人体制で臨む。

 とはいえ、一軍登録できる上限は5人で出場可能なのは4人まで。必然的にあぶれる助っ人が生まれてしまう。

 そうした状況下、ただならぬアピールを続けているのがウィーラーだ。昨季の守備位置は一塁と左翼だが、今キャンプ中にはかつて〝本職〟だった三塁でもノックを受け、21日には若手の走塁練習に飛び入り参加。首脳陣から「大丈夫か?」と心配されるほどの全力疾走で本塁に突っ込んだ。さらに、この日の浦添遠征では坂本と丸、中田、岡本和、中島の主力組が那覇で残留練習となった一方で、ウィーラーは若手とともにチームに帯同。室内練習場で精力的に汗を流すなど、貪欲な姿勢を貫いている。

 ウィーラーはチームのムードメーカーであるものの、昨季は首脳陣から〝スキ〟も指摘された。

「外国人がほかに2人いた分、キャンプから飛ばして勝ち取ったレギュラー。でも、2人がいなくなってからウィーラーも落ちていった。油断したんじゃないかな」(元木ヘッド兼オフェンスチーフコーチ)

 昨季加入したスモークは現役よりも家族との生活を選んで6月に、テームズはアキレス腱断裂の重傷を負って8月にそれぞれ退団した。すると、前半戦は22試合連続安打をマークするなど絶好調だったウィーラーは、ライバルが去った夏場以降に失速し、8月と9月の月間打率は2割台前半をさまよった。

 最終成績は出場121試合で打率2割8分9厘、15本塁打、56打点。Aクラス死守には不可欠な戦力だったが、スモークらが健在であれば、成績はさらに上向いていた可能性もある。新助っ人の加入を「競争が激しいというのはいいこと」と歓迎していたウィーラー。まだ見ぬライバルたちとバチバチの火花を散らしている。