これは3度目の沢村賞獲得の予兆なのか。宮崎キャンプで「S班」調整中の巨人のエース・菅野智之投手(32)のある〝変化〟に、チーム内から「最高の状態にいるバロメーター」との声が上がった。昨季、ケガによる4度の登録抹消と6勝7敗で負け越しという屈辱を味わった背番号18。再起を図るどころか大躍進の予感が漂ってきた。

 まさに絶〝口〟調だった。10日に宮崎キャンプ4度目となるブルペン入り。投球間にはブルペン捕手に「(ミットの)音出してください」「(ミット音が)パスッパスッ!」「(グラブの)面で捕れてないです」などとトークが止まらず。気持ちよさそうに腕を振り抜いた。

 あまりの元気ぶりに原監督もたまらず右打席に入って、ボールの軌道をチェック。指揮官は「順調に来てるでしょう」とうなずいた。

 指揮官が打席から離れた後も右腕は「(今のボール)ワンチャン、ストライク?」と上機嫌のまま。63球目で自ら「よしっ、OK!」と投球を終えた。

 桑田投手チーフコーチの方針で、これまで前年には伝えられていた開幕投手決定が、3月頭まで持ち越しとなった。さらに同コーチは「4人の中で絞っていきたい」とチーム内競争をあおっている。

 それでもエースは「自分自身はそこ(開幕)で投げるつもりで時間を過ごしてきていますし、そういう(競わせる)方針っていうのは知っている。自分で自分の尻を叩きながらやっていきたい」と、5年連続8度目の栄誉に向け動じなかった。

 そんなエースの様子に球団スタッフは「ブルペンで菅野の軽口が出るのは体の状態が本当にいい証拠。実際、ケガに見舞われた昨年は必死の調整に追われて、そんな余裕はなかった。2017、18年の2年連続沢村賞のころに近いのでは。最高の状態のバロメーターになっている」と証言する。

 17年はキャリアハイの17勝(5敗)、18年も15勝(8敗)で2年連続最多勝と沢村賞に輝いた。「絶対エース」の名をほしいままにし、まさに〝全盛〟と言える2年間となった。

 菅野本人も手ごたえはつかんでいる様子。現在の状態について「フィニッシュのところで左脚にしっかり体重が残ってるってことは、すごく自分の中でいい時の感覚に近い」と自画自賛する。

「7~8割、体は仕上がってきているので、あとは沖縄に入って、150~160の球数を投げて、フリー打撃投げてって感じですね」とも。一度、体を追い込んでから徐々に回復させ、開幕に最高の状態で合わせるという。

 これまでのキャリアから開幕までの調整はお手のもの。このままアクシデントなくいければ昨季のリベンジどころか、キャリアハイ更新も夢ではない。「絶対エース」の復活はV奪還を狙う巨人にとって、これ以上ない大きな力となる。