指揮官からの愛のこもったエールだ。ソフトバンクの藤本博史監督が6日、復活を期する愛弟子・上林誠知外野手(26)に「バカになれ」とメッセージを送った。

 上林は熱い思いを持ちながらも、内に闘志を秘めるタイプ。今季は再起に向けて、自ら感情を表に出していくことへの思いを口にした。「前からちょくちょくは出していると思うが、もっともっと。そういう気持ちが大事だと思うし、受け身に入ったら負け。常に前に前にという意識ではやっています」と話す。

 これに藤本監督は「あいつのテーマですからね。全面的に前に出してください」と、うなずきニッコリだ。

「どちらかというと、栗原みたいにバカになればいいですよ。バカって言い方はおかしいけど、野球バカになればいい。打ったらうれしい、打てなかったらクソ!ってくらい気持ちを全面的に出してくれた方が、上林の場合はいいかも分からないですね」と温かい目を向けた。

 2017年のCSでリーグ王者ながら楽天に連敗した際、前任の工藤監督が円陣でナインを奮い立たせた言葉も「バカになれ」だった。そこからチームは過去0%だった突破確率をはね返して日本一にまで突き進んだ。

 また、アントニオ猪木氏の名言としても知られる。詩集『馬鹿になれ』を刊行。こだわりを捨て、自らをさらけ出して前向きに取り組むことの大切さを説いた。

 藤本監督は上林がウエスタンで首位打者を獲得した台頭した2015年の二軍打撃コーチ。レギュラーとしてブレークした2017年、18年は一軍打撃コーチとして活躍を支えた。表に出さないだけで熱い思いがあることは誰よりも知っている。深く考え込み過ぎず、秘めた思いを解放して取り組んでくれればとの思いだろう。

 この日、打撃練習では直接指導も行った。「全体的に見たら全然いい。いい状態で来ている」。直近3年は大不振に陥っているものの、2018年に全試合出場を果たした鷹の未来を背負う男だ。新指揮官も天才打者のV字復活を信じている。