楽天の守護神・松井裕樹投手(26)が、順調すぎる調整ぶりで首脳陣らを驚かせている。

 プロ9年目を迎えた左腕は、今キャンプ初日にブルペンでの投球練習を行うと、3日にもカーブなどを交えながら直球中心に41球。「キャンプはいろんなことを意識してやっている」と言う本人によると、現在は投球時の目線や腕の通る位置、右手グラブを置く位置などを細かくチェックしながらフォームを作り上げている段階だ。

「今年に関してはいい部分や悪い部分、なぜいいボールが行ってないか、なぜいいボールが行ったかがクリアになっているので。あとはいいほうが出る確率を上げていくことを重点的に取り組んでいきたいなと思っています」

 昨年の同時期は投球フォームを中心に試行錯誤を繰り返すなど、調整に苦心している姿が目立った。今年はそんな様子はなく、むしろ言動には余裕すら感じさせるほど。なぜ1年でここまで激変したのか。要因に挙げられるのが「メンタル」と「オフの期間」だ。

 昨年のキャンプは先発から抑えに再転向した時期だったこともあり、救援投手としての調整がやや難航した。だが今春はそんな不安を抱えることなく「絶対的守護神」としてキャンプに臨んでいる。この気持ちのゆとりが本人の調整をプラスに導いている。

 しかも昨年は新型コロナ禍の影響でシーズンが11月にまでずれ込んだため、松井裕の「オフ」は3か月足らず。ただ、投げない時期が短かったことでむしろ「いい感覚というか、肩であったりは感覚を(呼び)起こしていく作業があまりなかった」というメリットもあった。こうした状況も重なり、迷いなく自身の調整に集中できている。

 石井監督も「なんかいい顔していますね。穏やかな。別に何かに追われてるような危機感もないし。一からリフレッシュしてもう一度といういい感じに見えるので」と松井裕の調整ぶりに目を細める。通算200セーブまで残り35。この調子ならシーズン中の「大台到達」も夢ではないか。