日本ハムの「ビッグボス」新庄剛志監督(50)が有言実行ぶりで男を上げている。第1クール最終日となった3日は2度目の二軍キャンプ視察を敢行。選手たちを一、二軍の区別なく「横一線」で扱うと宣言したことが〝口だけ〟ではないことを実践してみせた。もちろん選手たちのモチベーションが上がらないワケがない。幸先よくファイターズのキャンプがいいムードだ。

 雨の中、宿舎のある名護から車で40分かけて国頭村へ北上。全体アップ終了後、すぐに前日、名護で午前、午後と2度の特別講義を行った武井壮臨時コーチ(48)による最終3セッション目のレクチャーが開始された。

 前日の2セッションと同様に講義は白熱し、武井が「選手たちは自分の体を動かすことをすごいスピードで吸収してくれた。終わった後にも(話を聞きに)来てくれて、いいリアクションをたくさんくれた。沖縄まで来たかいがあった」と話すほどの盛況ぶりだった。

 講義に参加したドラフト1位・達孝太投手(18=天理)は「スポーツに関してのスペシャリストなのですごく興味深い話をされていた。体のことというより力学的な話をされていた。興味を持っていたので調べてみたいと思った」と語り、同6位・長谷川威展投手(22=金沢学院大)も「僕が一番納得したのは不調に陥った選手が技術を変えることがあるが、それは体の問題じゃないかという提案。体を見直してやっていく方が答えにたどりつきやすいという話」と実践を交えた武井コーチの話に引きつけられていた。

 まずは新庄監督の「8人の臨時コーチ計画」が順調に滑り出したわけだが、第1クールの3日間で指揮官が得たものは選手、関係者からの信頼。その言葉に嘘がないことによる〝報酬〟だった。

 昨年11月4日の就任会見で新庄監督は「レギュラーなんか一人も決まっていません」と明言し、12月5日の新入団選手会見でも選手を前に「横一線」を強調した。

「スタートラインはここにいる選手も去年一軍で活躍した選手も二軍の選手も本当に一線なので、ここにいる選手が(開幕戦の)福岡(ペイペイ)ドームでプレーしているかもしれない。『早く一軍に上がれたらいいな』じゃなくて『必ず俺が開幕戦のグラウンドに立つ』という強い気持ちを持ってないと行けない」とハッパをかけていた。

 そして、一見リップサービスのような言葉を、指揮官はさらりと実践してみせた。名護、国頭2か所で行うキャンプ地を一、二軍ではなく「BIG組」「BOSS組」と名付け、そこに差がないことを2度のBOSS組視察、武井コーチによる講義を両キャンプ地で行うことで証明した。

 この日のブルペンでも長谷川に「ここは(開幕戦の)ペイペイドームだと思え!」と言って鼓舞し、ルーキー左腕も「実戦を想像して投げろということだと解釈した。柳田さんをイメージして投げた」とボスの檄を受け止めた。

 他のBOSS組ナインからも「ビッグボスは本当に全員を平等に見てくれている感じが伝わってくる」と信頼を得ている有言実行の男。その言行一致ぶりが再建途上にあるチームのテンションを上げている。