ビッグボスの〝スター育成計画〟が、いよいよ本格始動だ。新庄剛志監督(50)率いる日本ハムのキャンプ2日目は、陸上十種競技の元日本王者でタレントの武井壮(48)が臨時コーチとして選手を指導。今後も野球界とは無縁のコーチを次々と招くという。ナインの反応もまずは上々で、狙い通りの効果が期待できそうだ。

 沖縄・名護キャンプ2日目、時折冷たい雨が吹きつける悪天候の中、新庄監督は精力的に新アイデアを実行に移した。

 昨秋キャンプから取り組む「低く、速く、強い」送球に最も大事な正確なコントロールを意識づけるため、フラフープを利用した送球練習の導入。さらに、より実戦的な打撃練習を意識づける目的でバーチャル打撃マシンでの練習も開始した。

 新庄監督は「フラフープのど真ん中を突き抜けていかないと(捕球する側は)タッチができない。5人ぐらい、ちょっと面白いなという選手がいた」と手応えを口にし、新打撃マシンについても「打球の勢いがすごい! レベルが違う。後ろから見ていてめちゃくちゃうれしくなりました」と声を弾ませた。

 そして、指揮官にとってこの日のメインイベント、「臨時コーチ」として招へいした陸上十種競技の元日本王者でタレントの武井壮による特別講義には、感謝の言葉があふれた。

「ひじょ~にプラスになった。武井壮くんが2組に分かれて2時間ずつ、みっちり教えてくれた。普段質問をしないイメージがある選手たちが、みんなバンバン(質問をして)。2、3人ノートを持って待っていた」と新庄監督。球界以外から臨時コーチを招く理由について「球界OBじゃないほうが、何か選手って飽きないんですよね」と効果を力説した。

 武井は新庄監督が今季の4番候補に挙げ、潜在能力を高く評価する2年目・五十幡亮汰外野手(23)を2時間の全体レクチャー後、指揮官を交えて約40分の補習で自らの知識とノウハウを惜しげもなく注入した。

 武井は「ビッグボスから『五十幡の機動力は異次元。今後のスターにしたい』という話を聞いていた。骨盤の傾きを少し直せば故障のリスクは減らせる、脚も上がるという話をした」と、圧倒的なスピードと背中合わせにある故障癖への対処アドバイスを送ったことを明かした。

 これに五十幡は「ビッグボスのほうから『どうしたらケガをしなくなるか』自分が聞く前に聞いてくださった。そういったところですごく期待してくださっているなと感じましたし、期待に応えたいと思った。特別に講義してもらったことはすごく光栄に思いました」と武井との補習を設定してくれた指揮官の配慮に感謝した。

 就任時から「野手で4人、投手で3人のタレントを作ればチームは強くなる」との信条を掲げてきた新庄監督。その最初の一人がスピードスター候補・五十幡であることはもはや明白だ。

 五十幡は指揮官からの〝強化指定〟に「雰囲気だったり、言葉、選手たちをどう生かしてあげたいというのが、すごく伝わる。それが自然に伝わるのがすごいところ」と改めて言及。その期待に応えるために今回注入された〝武井メソッド〟を必ず血肉とする構えだ。