阪神のメル・ロハス・ジュニア外野手が、来日初となる春季キャンプで大ハッスル中だ。昨季はコロナ禍の影響による来日遅れでシーズン途中からのチーム合流となった背番号24だが、今春は朝一番に宿舎を出発するバスに乗り込み、早出練習にも参加するなどやる気満々。「こうやってキャンプに来て練習して準備できるというのはすごく大きい」と語る。

 2日は新任の藤井康雄打撃コーチから、同氏の得意分野である「4スタンス理論」に基づいた指導を受ける一幕も。「4スタンス理論は聞いたことがありませんでしたが、彼の言うことはとても理にかなっている。自分に向くかどうか試しながらやっていきたい」と謙虚な姿勢で耳を傾けた。

 4スタンス理論とは廣戸聡一氏によって提唱された「人間の重心の位置は4つのパターンに分類することができ、その類別によって、その人その人に最適な体の動かし方が存在する」という日本発のセオリー。藤井コーチは「ロハスはイチロータイプ。『こういう動きをすればいいよ』というアドバイスをした。基本的には自由にやってもらい、悩むことがあればまた聞きに来てほしい」と練習終了後、笑顔で振り返った。

 外国出身選手にはなじみの少ない4スタンス理論だが、藤井コーチはオリックスで打撃コーチを務めた2009年に、ラロッカを指導した経験もある。「(ラロッカには)『マジシャン(魔術師)!』と言ってもらったよ。外国には『軸』って考えがないんだよね。でも彼らは基本的にはすごく体の使い方が上手だから」(藤井コーチ)

 韓国球界で本塁打(47発)、打点(135打点)の2冠王に輝き、鳴り物入りで阪神に加入したロハスだが、打率2割1分7厘、8本塁打、21打点と入団1年目の昨季は日本野球への適応に苦しんだ。藤井コーチの魔法の杖が、悩めるグッドガイを覚醒へと導いてくれるよう期待したい。