コンビ復活で再起なるか。かつては日本代表にも選出されたが、ここ数年は成績もジリ貧のソフトバンク・上林誠知外野手(26)に大きな期待がかけられている。キャンプ初日を終えた藤本監督も「打撃で目立ったのは上林。だいぶ振り込んできている感じもある。期待していいと思います」と名前を挙げた。

 上林は2018年に全試合出場を果たし、打率2割7分、22本塁打をマーク。誰もがポテンシャルの高さを認めるホープだ。しかし、死球禍なども重なって自らの打撃を見失い、19年から3年連続で打率1割台に低迷。球団関係者は「目指すところも高い。いろいろアドバイスを受けて打撃フォームの試行錯誤が続いてしまった。変えても最初はある程度打ててしまうものだから、余計にこんがらがって自身の形から遠ざかってしまった」と原因を解説する。

 そんな中で悩める天才打者を誰よりも熟知する指揮官が就任した意味は大きい。上林がウエスタン・リーグで首位打者を獲得した2015年の二軍打撃コーチが他ならぬ藤本監督。一軍でレギュラーとしてブレークした17、18年は一軍打撃コーチとして活躍を支えた。モチベーターとしても知られ、相性抜群。上林も「下積み時代から一緒にやってきて、一緒に練習した後というのは、変化がなくても打てる気がするというか、そういうものがあった」と振り返っている。

 実際に指揮官就任後、ここまでしっかり道を示して導いている。秋から打撃フォームを1本化して固めることに取り組ませた。表情や雰囲気から迷い道に入っていた愛弟子の手応えを感じ取っているようで、藤本監督は「本人も納得してこれだと思ってやってるようなのでね。話していても悩んでいる姿がない。明るい感じで話ができた」と笑顔を浮かべる。

 かつては東京五輪の日本代表候補としても期待された〝初代・藤本チルドレン〟。一気にレギュラー奪取まで突き抜ける可能性は十分にある。