ビッグボス劇場が「第2フェーズ」に突入だ。日本ハム・新庄剛志監督(50)が30日にキャンプ地の沖縄入り。世間をあっと言わせた昨年11月の電撃監督就任以来、球界の話題をほぼ独占してきたが、あまりにも「露出過多」だったことから、ここへきてだいぶ飽きられてきている様子。自身もそんな〝逆風〟を気にしているようで「これまでは話題作りのためにやってきた。1日からはボクと選手の真剣勝負」と高らかに宣言。現状をどんな手で打破してくるか注目だ。

 到着した那覇空港内、新庄監督はわざわざ着替えをすませると、中古グラブ40個を分解しパッチワークにしたド派手なリメークコートで計120人の報道陣、居合わせたファンの前に現れた。

「ボクのオヤジは植木屋、造園業をやっていたので、いくら疲れていてもハサミやら道具をキレイに手入れした後に遊びに行っていた」とコートに込めた〝道具愛〟を語っていたが、そのビッグボスには今、大きな逆風が吹いている。

 閉塞感がまん延する出口の見えないコロナ禍の中、昨年11月4日に世の中に明るい話題を提供した新庄監督の電撃的な誕生。しかし「ファイターズを知ってもらうため」と始めたオフのテレビ、CMなどのメディア露出が過ぎたのか、その期待は年が明けると次第に批判へと変わり始めた。

 ネットの新庄記事には「新庄劇場もそろそろ飽きてきた」「いい加減くだらないパフォーマンスはやめろ」といった批判的書き込みが目立つようになり、新庄監督自身も世間が食傷気味なのを十分理解してきている。

 当然、仕事をブッキングしているのは新庄監督の所属事務所サイド。本人は「ほんと、マネジャーにはいい加減にしろよと」とひとくさり。2月1日以降はパフォーマンスは継続させた上で、選手との真剣勝負、監督業に1日のすべての時間を捧げる覚悟でいる。

「ボクのイメージとしたら1年間のトライアウトのスタート。1年間勝ち負けにこだわらず、選手をトライアウトを見るような目で見ながら(新球場移転の)来年に向けて〝コイツは行ける〟というものを作り上げていく自信があるので、そこに向かっていくスタート」

 一部ファンからの批判は覚悟で、こう今季を位置づけた新庄監督は、すでに始まっている選手との真剣勝負についてもこう言及した。

「本当に今季がダメだったらユニホームを脱がされるんじゃないかと思っている選手は多いと思う。今年は本当に『横一線』という考え。大体、監督って『横一線』というんですけど、ボクの場合、本当っぽいでしょ? 選手にもそれは伝わっていると思うので、その中でも楽しんでやっていきたい。キャンプに入ってボクも機嫌が悪い時も出てくる。これまでは話題作りのためにやってきた。1日からはボクと選手の真剣勝負。ボクも人間なんでムカつくこともあれば、機嫌悪い時もある。(メディアの)皆さんも対応力をもってやってもらえたらうれしい」

 レギュラーを含め選手を決して安心させない。多くの主力を放出、解体しながら再建を図るチームには、見せかけではない「本当の厳しさ」が必要なことは、経験で知っている。その一方でファンを飽きさせない〝新たな仕掛け〟にも思いをめぐらせる――。ビッグボスにとってのキャンプは、選手以上に超多忙な毎日となる。