希少価値は年々右肩上がりだ。巨人の合同自主トレが28日から宮崎県内で始まり、菅野智之投手(32)が真っ先にブルペン投球を行った。今季も先発陣の大黒柱として期待が高まるが、そんなエースに対して球界内からはある意外な理由から羨望のまなざしを向けられているという。

 一番乗りはエースだった。ランニングやキャッチボールなどで汗を流すと、その後は投手陣の中で先陣を切ってブルペン入り。当初は予定になかったとのことで「体の状態も悪くない。自分の体調と相談しながらやっていければいいんじゃないかなと思います」と話した。

 順調な調整ぶりがうかがえる右腕だが、投球中には中指の爪が割れるアクシデントも発生。ただ、オフに宮古島で行った自主トレでは指先の強化をテーマの一つとして行っていただけに、そんなハプニングすら〝好調ぶりの表れ〟と語る。

「キャンプの序盤に割れるって初めてじゃないですかね。投げて初日に爪が割れるくらいなんで、指にはかかっているんじゃないかなと思います」

 悔しい結果に終わった昨季の雪辱を果たすため、まずは合同自主トレ初日から好発進を決めたと言い切って良さそうだ。

 好調モードの右腕に対し、球界内からは「彼の価値は年々上がっている」との声が出ている。昨季は前半戦で不振に苦しみ、6勝7敗と自身ワーストの成績。年齢も今年で33歳と徐々にベテランの域へと近づいている今、なぜその価値が上がっているのか。

 ある球界関係者はまず「最近はダルビッシュ投手や田中将大投手などのように、SNSなどを通じて、野球の技術を含めた情報発信を自ら行っているトップクラスの選手が多いじゃないですか。直接関わりのない他球団の選手でも、スマホひとつで一流の選手の技術を簡単に入手できる時代になってきた」と、現在の球界事情を説明。

 その上で「一方で、菅野投手はSNSなどを全くやっていない。菅野流の調整術なり投球術などが知りたければオフに弟子入りを直訴した藤浪のように本人に直接聞くほか手段はありませんし、『菅野情報』はチームメートや親しい人物を除いて門外不出の状態。情報が簡単に手に入る世の中だからこそ、その希少価値はかなり高まっていると思いますね」と〝株価急上昇中〟の理由を明かした。

 実際、他球団の若手選手の中からも「当然、アドバイスが欲しいからと言って気軽に聞きにいけるような方ではないとは思いますが、それでもやっぱり巨人の若手はうらやましいですよ」と、貴重な情報源がそばにあるヤングGを羨む声すら出ている。

 情報化社会の中において、いい意味で一種の〝ガラパゴス化〟が進んでいる菅野。今後もSNSなどでの情報発信を開始しない限り、希少価値がより一層高まっていきそうだ。