人的補償とは言わせない――。ソフトバンクにFA移籍した又吉克樹投手(31)の人的補償で中日に加入した岩崎翔投手(32)が張り切っている。

 28日から沖縄・北谷球場で始まった合同自主トレに参加。移籍後、チームに初合流し「ほとんどの人が今日初めて会ったので緊張した。ルーキーのときのような気持ちで1日過ごした」と15年目ながら初々しく頭をかいた。

 2017年に72試合に登板し、40ホールドをマークするなど最優秀中継ぎのタイトルまで獲得したが、18年に右ヒジを手術してから満足な成績を挙げられず昨季は48試合に登板し、2勝5敗14ホールド6セーブも防御率は4・17。しかし、ソフトバンク時代の11年から二軍投手コーチに就任し、岩崎や千賀らを一軍に送り出してきた本紙評論家の加藤伸一氏は今後の課題を指摘しつつも、右腕の完全復活に太鼓判を押す。

 昨季、自己最速の157キロをマークした岩崎について「正直、スピードガンの表示は出るが、一時のキレがない。空振りが取れず、これまでなら失投してもファウルになっていたが、それが長打やホームランになってしまっていた。この2年は丁寧に行こうとするあまり、投球間隔が長くなってしまってテンポも悪かった」と改善点を挙げる。

 その上で加藤氏は「一番は自信を取り戻すこと。真面目すぎるところがあるので、あまり考え過ぎず、テンポ良く投球することが大事」と説く。さらに「西武の山川や中村にはやられていたが、セ・リーグならこれまでのようなことはないはず。右ヒジの状態も心配しながらだったが今年はそういった後遺症もなく、メンタル面も問題ないと思う。又吉以上の成績を挙げる可能性は十分あるし、今年は本当に楽しみ」と期待を寄せている。

 立浪監督、落合ヘッド兼投手コーチからは〝特権〟として自主調整を任されているが、岩崎は「それに甘えることなく、チームの競争もあるので、しっかりとアピールできる状態に持っていきたい」と意気込む。セ・リーグに戦いの場を移し、さらに気持ちも変われば、今季の岩崎の完全復活は現実となりそうだ。