2月のキャンプに向けた一、二軍のメンバー選考を近日中に行う阪神では、今年もキャンプ初日から外国人選手の「全員集合」が難しい状況となっている。投手5人、野手2人のうち、16日までに来日が発表されたのはチェン・ウエイン投手(36)のみ。新型コロナ禍による政府の入国制限などもあり外国人選手7人のうち、新たに加入したカイル・ケラー(28)、アーロン・ウィルカーソン(32)の2人の投手は来日の見通しが立っていない状況だ。

 昨年の8人体制に続き今年も大所帯での助っ人布陣を敷いた狙いは、外国人選手にも競争原理を導入し、選手層にさらなる厚みを形成するため。

 ただ、第一目標が「開幕一軍メンバー入り」となるのは日本人選手も同じ。キャンプ中盤以降に予定されている練習試合やオープン戦などでは助っ人勢が不在だったり、調整期間にある可能性も高く、生き残りをかける日本人選手にとっても絶好のアピール機会となるはずだ。

 野手では金本前監督時代からレギュラー獲りを期待をされてきた陽川尚将内野手(30)、高山俊外野手(28)、投手だとトレードやFAの人的補償で虎の一員となった小林慶祐(29)、加治屋蓮(30)、尾仲祐哉(26)あたりが〝崖っぷち〟に立たされている。矢野政権下で世代交代を推進する中で、若手としてチャンスを与えてもらえる保障はない。一打席、一イニングでも多くアピール機会があるに越したことはなく、助っ人勢の出遅れは絶好のチャンスにもなる。

 開幕が近づくにつれ、外国人選手も生き残りをかけて調子を上げてくるのは間違いない。首脳陣も外国人枠を有効活用するための見極めを優先したいはず。そうなれば一軍当落線上にいる日本人選手にとって〝狭き門〟になるのは目に見えている。助っ人勢がそろわないキャンプ序盤こそ、一軍生き残りを目指す選手にとっては真剣勝負の場となりそうだ。