巨人・原監督が〝ガンジー化〟 V逸バッシングに無抵抗を貫いた真意明かす

2022年01月13日 05時15分

猛烈なバッシングに無抵抗を貫いた巨人・原監督(東スポWeb)
猛烈なバッシングに無抵抗を貫いた巨人・原監督(東スポWeb)

 熟練指揮官の〝聖人化〟が止まらない。昨季、セ・リーグ3連覇を逃した巨人を待ち受けていたのは、猛烈なバッシングだった。その矛先は原辰徳監督(63)に向けられ、チームが失速したシーズン終盤から激化。評論家諸氏からは采配への批判はもとより、進退問題にまで言及された。それでも、現場を誰よりも知る原監督は反論せず、集中砲火を浴び続けたのだが…。その背景ではひそかに「ガンジー化」が進行していた。

 周囲の風当たりが急激に強まったのは、優勝争いから脱落した9月以降だった。シーズンの勝負どころで当時の先発投手6人では力量不足と判断。実力上位5人で登板間隔を詰め、中5日と中4日で先発ローテを組んだ。しかし、これが結果的に裏目に出て、打線の大ブレーキもあって3位を死守するのがやっとだった。

 前年まではリーグ2連覇。V逸が3年ぶりという反動もあってか、鳴りを潜めていた〝外野〟の批判は強烈なものとなった。対象となったのは、編成権も持つ全権監督でもある原監督だ。ネット裏の評論家、解説者たちからは、采配やチームマネジメントを疑問視する指摘、さらには監督の責任問題を追及するものなど多岐にわたった。

 しかし〝サンドバッグ状態〟となった原監督が反論することはなかった。原監督は現場の最高責任者で、チーム内の隅々までの情報と状況を把握している。何より、目まぐるしく変化する試合の中で指揮を執っているのは原監督自身で、内部でしか知りえないことが山ほどあったはずだ。それでも、沈黙を貫いたのはなぜだったのか。その問いに原監督はこう明かした。

「(評論の内容が)正しいか、正しくないかではなく、評論家として一生懸命生きている人だから。『あの人、こんなこと言っていたけど、実際はこんなんじゃねえんだよ!』みたいな否定っぽいことだと、その人たちの立場があるから。(自分が〝正解〟を突きつければ)そういう人たちを完全にダメにする」

 いよいよ優勝が絶望的となると、本紙専属評論家の伊原春樹氏も原監督のそれまでの采配を厳しく断じ、昨年10月8日付けの本紙1面では「すべて原監督が悪い!!」との見出しが躍った。文句の一つでも言いたかったはずだが、発行翌日に記者が原監督のもとを訪れるとこんな反応が返ってきた。

「(記事を読んで)すぐ(伊原氏に)メールしておいた。見せてあげるよ」と自らのスマホを取り出し、伊原氏とのやり取りを〝公開〟。そこには「ご無沙汰です。すべて私のせいです。ありがとうございます。原辰徳」と記されていた。

 もはやここまでくると、どんな圧力に対しても「非暴力、不服従」を提唱した〝インド独立の父〟マハトマ・ガンジーに通じるフシさえある。

 もちろんグラウンド上では「やられっぱなし」というわけではない。今季こそはV奪回を果たし、文句のつけようのない結果で周囲の猛バッシングをシャットアウトできるか見ものだ。

【伊原氏「ジタバタするのは青大将」と返信】伊原氏は昨年10月8日付け本紙1面で「すべては原監督の責任だ」と断じ、監督通算勝利数で〝川上哲治超え〟を果たした全権監督の問題点について「周囲に諫言(かんげん)する人が誰もいない状況で、やりたい放題やっている。とにかくベンチの落ち着きがない」「中田だって獲得すべきではなかった」などと指摘。CSで終戦が決まると11月14日付け最終面で「原監督は潔く辞めるべきだった」と言及した。

 原監督から届いたメールについて、伊原氏は「びっくりした」と驚いたそうだが、こんな返信メールを送ったという。

「タッちゃんは若大将。ジタバタするのは青大将。もっとどっしりやりなさい」

 原監督の通称は「若大将」。加山雄三主演の映画・若大将シリーズ「若大将対青大将」(1971年)からの引用で「原監督は若大将なんだから、映画の中の青大将のようにジタバタするんじゃない」ということを伝えたかったという。

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