新人選手には早くも〝新庄イズム〟が浸透か。今年の日本ハムの新人合同自主トレでちょっとした変化が起きている。「練習量が少ない」と評されるチームにも関わらず、新人選手が自発的に練習量を増やす傾向にあるからだ。

 10日に行われた新人合同自主トレでもその兆候が見られた。

 この日の予定ではルーキーは午前10時過ぎから全体練習を開始。キャッチボールや坂道ダッシュなどを行い、その後トレーニングの講義を受け午後2時過ぎにはすべての練習メニューが終了するはずだった。ところが、トレーニング講義を終えて屋外に出てきた新人選手の多くは午後2時半過ぎに再び寒風吹くグラウンドに逆戻り。ドラ1ルーキーの達らが強めのキャッチボールを始めたかと思えば、他選手も自主的にランニングなどを敢行。およそ1時間にわたり「おかわり練習」で汗を流したのだ。

 自然発生的に始まった新人選手らのこの動き。背景にはビックボスこと新庄剛志監督(49)の影響が大きい。

 同監督は9日に行われた球団スタッフ会議の中でコーチ陣に対し、今後新人選手から質問を受けた際には「一切答えるな」と通達。「1年目は自由に思い切り暴れなさいとしか言わないでくれ」と指導者側からの押しつけではなく選手に調整や練習量を委ねる方針を示した。これは自身の現役時代の経験によるもので「ちょっと天狗のコーチが押さえつけて教えてダメになって。2、3年でユニホームを脱がされた選手を見てきて、僕はかわいそうだなと(思ったので)」(新庄監督)

 日本ハムはこれまでも春季キャンプや自主トレなどでの練習はあくまで個人の意欲を尊重。全体練習以外の個別調整などは各自の裁量に委ねられていた反面、一部選手はチーム方針をはき違え練習量不足に陥っていた。それでも今季の新人は監督の思いを真摯に受け止め、自発的に練習量を増やす動きが出始めている。見守った球団職員の一人も「今年の新人は監督の思いをいい方向に受け止めてくれている。このまま継続してくれれば、チーム全体にいい刺激を与えてくれるんじゃないかな」。

 まだ開幕まで時間があるとはいえ明らかに何かが変わりつつある日本ハム。やはり今年は期待せずにはいられない。