“構想外と同じ”年俸3億円減のソフトバンク・松田 「自由契約もアリ」発言の真意

2022年01月10日 19時19分

神妙な表情で更改後の会見を行ったソフトバンク・松田(東スポWeb)
神妙な表情で更改後の会見を行ったソフトバンク・松田(東スポWeb)

 新シーズンにかける熱男の魂の叫びを公開する。ソフトバンク・松田宣浩内野手(38)は先月末、球団と重ねてきた長い交渉の末に3億円ダウンの年俸1億5000万円で契約を更改。減額制限(1億円超の場合40%)を大幅に超える67%ダウンの衝撃とともに、会見で語った「自由契約もゼロではなかった」という言葉に世間の反応は大きかった。生粋の野球人が明かす発言の真意とは。


 自由契約もアリ――。実に熱男らしい真っすぐなファイティングポーズだった。今オフ、全12球団の契約更改で最大の衝撃だったはずだ。松田は会見で「正直、合意に至るまでは相当な時間がかかった」と明かした。かねて、松田はこう言い続けてきた。「これほど魅力的な球団はないし、幸せな球団はない。僕がここまでこれたのはホークスのおかげ」。恩義と愛着は誰よりも強い。ちまたでは「ミスターホークス」と呼ばれてきた。そんな自分自身を「これまでの僕は〝いい子ちゃん〟のイメージ」と言った。だが、大減俸を食らった今回のタイミングだからこそ、そのイメージを覆すことを松田は望んだという。

 契約更改後、報道陣に囲まれ「自由契約となって他球団でプレーする考えもゼロではなかった」と明かした。すぐに各メディアで大きく報じられ、反響を呼んだ。真意はこうだった。「契約更改というのは年に一回、野球の結果以外のところで選手個人がクローズアップされる大事な機会。67%、3億円ダウンしました、悔しいです、来年また頑張ります…だけじゃ『野球人』の本心は何も伝わらない。僕個人の考えとしては、その本心の部分を外に表明できないのならプレーする資格はないと思っている。後先考えれば〝おとなしくしていたほうがいい〟というのはあるかもしれない。でも、僕は『まだコイツにはこれだけ勝負する気持ちがあるんだ』ってことを伝えたかったんです」。自分自身に対する猛烈なハッパだった。

 冷静にこうも説明した。「減額制限を超えるダウンというのは、捉え方としては構想外と同じ。だから、ルールとして減額制限を超えたら自由契約の道がある。3億という減俸額ではなく、ダウン率が選手のプライドとしてはつらいんです。純粋に野球人としての『なにくそ』という部分があったから、僕はああ言ったんです」。

 誤解を招きかねないことも理解していた。「球団にも『松田は何があろうと〝生涯ホークスタイプ〟で終わるんだろうな』というところを『コイツは〝もがくタイプ〟の一面も持っていたのか』っていうところを知ってほしかった。これって批判ではないんですよね。勝負に行ってもがいているっていうか、あがこうとしているだけですから。こんだけお世話になった球団が嫌いで言ってるわけじゃないですし、嫌いになるわけがない。でも、そことそれは別ですよってところは野球人として、このタイミングでどうしてもお伝えしたかったんです」。

 今年5月で39歳。「僕らの年齢になると『安定』を考えてしまう。それは間違いじゃない。この後の人生の方が長いんだから当然」。普通は〝後先〟を考えるもの。熱男が守りに入らなかったのには理由がある。

「自分に自信がなかったら、絶対に言わない。どこか体に不安や問題を抱えているなら話は別だけど、全くない。結果を出せば使ってもらえる。世代交代と言われてますが、そんなに甘い世界じゃないんですよ、プロは。今の自分の状態とここまで生き抜いてきたからこそ、自信があるんです」

 松田は契約交渉の席で、球団幹部らにこう所信表明したという。「来年のこの席には、2000安打まで1本でも減らして必ず戻ってきます」。かねて野球人としての振る舞いに、柳田ら同僚たちから絶大な信頼と尊敬を集めてきた。すべてが決した後にフロント内から「松田はやっぱり尊い存在」という声が上がったことが松田の真価だろう。誰からも愛される理由である〝野球人のピュアな叫び〟が炸裂したオフだった。

 世間では大減俸や長引く交渉にネガティブなイメージを抱きがちだが、決してそういうものでもない。「まあ見とってください。やりますよ!」。プロ人生の終着点まで、どこまでも熱く突き進むつもりだ。(金額は推定)

関連タグ: